02 葛の花、咲き誇る
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「ここが?」
「ええ。ここがマルクト皇帝、ピオニー・ウパラ・マルクト九世陛下が治めるマルクトの宮殿です」
生まれてこのかた城なんてものは精々、修学旅行なんかで行く戦国跡地の城しか行ったことがないから西洋チックなこの宮殿はまた滝とは違った意味で壮観だった。
「では行きますか」
ジェイドの言葉に頷いて歩き出す。宮殿の入り口に立つ兵士がジェイドの姿を確認して敬礼をする。けど、隣にいる私を見て怪訝そうに眉を顰めた。まぁ、この服装を見ておかしいとは思わない人はいないだろう。宮殿内に入りエントランスの両脇に降り立つ階段を上がっていく。上がりきった先に大きな扉がそびえ立ち、扉の前には二人の兵士が立っている。
「陛下に謁見を」
ジェイドが兵士にそう言うと兵士らはジェイドに敬礼をして扉を開けた。彼が無言で歩き出したので私もそれを追いかける。扉の中はまた更に凄かった。青いカーペットが敷かれていて、その先にはちょっと太ったおじさんと長い髭のおじいさんが左右に立っていて中央の椅子、玉座には肩まで伸びた金髪の男性が座っていた。
「よう、ジェイド。とうとう結婚でもする気になったか?」
「…陛下」
飄々とした態度で椅子に片肘を突いて何か訳の分からないことを言っているのがこの国の皇帝…想像していた皇帝像とは違った。良く言えば大物気質で親しみやすい。悪く言えばちゃらんぽらんなチャラ男。それが私のピオニーに対しての第一印象。皇帝の言葉に眉根を寄せて声を低くするジェイドに当の皇帝は「悪い悪い」と手をヒラヒラと振る。
「その娘が先日お前が鳩を飛ばして報告した娘か?」
「ええ。紫鶴」
髭のおじいさんが私をじっと見る。ジェイドに名を呼ばれて、前に出る。