13 狂気への始まり
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徒歩でカイツール軍港に戻り、アルマンダイン伯爵の配慮もあって軍港で一晩体を休めることになった。ある意味お忍びの旅だというのにルークは相変わらず空気が読めず、イオンはともかく私とジェイドもバチカルに向かっていることを伯爵に言っちゃうもんだから、部屋の外の警備が厳しくなった。
「私はここで失礼する。アリエッタをダアトの監査官に引き渡さねばならぬのでな」
「えーっ!師匠も一緒に行こうぜ」
あのまま、まだ意識の戻らないアリエッタを抱き上げているヴァンがマルクト領事館前でルークにそう言った。けどヴァン大好きっこのルークはヴァンが一緒じゃないことに不満を露わにする。
「後から私もバチカルに行く。わがままばかり言うものではない」
「……だってよぉ」
ルークのわがままに苦笑を浮かべるヴァン。それでもまだ納得がいかないのか素直に頷かず、ぶつぶつと言う。
「船はキムラスカ側から出る。キムラスカの領事館で聞くといい。ではバチカルでな。ティアもルークを頼んだぞ」
「あ……はい!兄さん……」
ティアにそう振り返るとずっとヴァンを睨んでいたティアは思いがけない言葉を掛けられたからか、いつものような凛とした表情から普通の16才の女の子の表情で返事をする。ヴァンは満足そうに笑みを浮かべてマルクト領事館へ入っていった。
「では我々も行きましょうか」
「紫鶴!」
ヴァンを見送り、バチカルへの船に乗るためにキムラスカ領事館へと向かおうと踵を返したとき、後ろから名を呼ばれた。足を止めて振り返るとそこに立っていたのは、
「アスラン!?」
だった。グランコクマにいるはずのアスランがそこにいた。私とジェイドは予想外の人物の登場に互いに顔を合わせた。些か、嫌な予感がしないでもないのは気のせいじゃないと思う。