12 彼に募り、彼女に蘇る悲しき記憶
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「……教団でしかるべき手順を踏んだあと処罰し、報告書を提出します。それが……規律というものです」
「身内の処分に納得すると思いますか、導師?」
一度目を伏せ、意を決したように目を開け顔を上げたイオンははっきりと冷静にそう答えた。が、ガイは更に追求する。今回のアリエッタの犯した一連の騒動は人が一人二人死んだだけの被害で済まない。多くの人が死んで傷ついて、港や船にまで多大な被害が及んだ。
「納得して貰います……紫鶴もいいですね?」
イオンは頑なに引くことはなかった。凛とした声でガイに言った後、今度は私に振り返る。すでに私はアリエッタから離れて、ジェイドの隣にいる。
「御意のままに」
頭を下げ、その一言だけ返す。教団で処罰をすると言うのなら私からは手は出せない。所詮は私怨なのだから。私はアリエッタのお母さんの敵というだけで、マルクトに害を為したわけではない。
「イオン様。カイツールの司令官、アルマンダイン伯爵より、兵と馬車を借りました。整備隊長もこちらで連れて帰ります」
イオン様はどうされますか?と、問うヴァン。イオンが私に確認を取ったのは気にしない?導師が他国の一介の兵に処遇の確認をしているというのに……本当に何を考えているのだろう。
「このコーラル城に興味がある人もいるようですので、歩いて戻ります」
「分かりました。ルーク、イオン様を頼んだぞ」
私たちを見回してイオンはヴァンに答える。興味……ってもガイとジェイドくらいなのかもしれないけど。
「はい!師匠!」
師匠であるヴァンに『頼む』と言われたことが余程嬉しかったのか、ルークは嬉々とした表情を浮かべる。この髭のどこがいいのかも分からない。私としてはもっと清潔な方がタイプなんだけど。