12 彼に募り、彼女に蘇る悲しき記憶
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「ガイ……あなたの女性嫌いというのは、いったい何が原因なんですか?」
「尋常じゃない…よね。あそこまで驚くなんて……」
ジェイドも同じ事を思っていた。ううん、みんなも思ってるよね。後ろから驚かされたにしてはその反応は普通じゃない。
「悪い……わからねぇんだ。ガキの頃はこうじゃなかったし……」
ただ抜けている記憶がある。それが原因だろうとガイは言う。そのガイの言葉に表情を変えたのはルーク。
「おまえも記憶障害だったのか?」
「いや、違う……と思う。一瞬だけなんだ、抜けてんのは」
自分と同じ障害を持っているんじゃないかと期待を少し露わにするルーク。けどガイは首を振って否定し、ティアが更に「どうしてわかるの?」と問えば、
「わかるさ。抜けてんのは……俺の家族が死んだときの記憶だけだからな」
苦笑混じりにそう言った。と言うことはガイは両親も兄弟もいない。ルークの世話係をしてるくらいだから天涯孤独なのかもしれない……私みたいに。
「俺の話はもういいよ。それよりあんたの話を……」
「あなたが自分の過去について語りたらないように、私にも語りたくないことはあるんですよ」
しんっとしてしまった空気にガイはさらりとした口調で言う。さっきの事が気になったのか話をすり替えたいのかジェイドに矛先を向ければ、ジェイドは眼鏡のブリッジに手を置いて顔を隠し「行きますよ」と一人先を歩き出す。
「急ごう…のんびりしてる暇はないし」
あからさまに機嫌が悪いのが分かる。人知れず溜息を吐いて、少し早足でジェイドの横につく。
「…あなたは知ってますね?紫鶴」
「知ってるよ」
隣に立つ私に問う。前を向いて歩く彼は視線だけ私に向ける。身長差で見下ろされているだけなのだが睨まれているかにも感じる。