12 彼に募り、彼女に蘇る悲しき記憶
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「俺も、気になってることがあるんだ。もしあんたが気にしてることか、ルークの誘拐と関係があるなーー」
「きゃーっ!」
動揺を見せ黙り込んだジェイドにガイは視線を向け、目の前の機械に近づく。すると広いこの部屋にかん高い悲鳴が響き渡った。
「ご主人さまぁ、鼠が!鼠がいたですの~!怖いですの~!」
悲鳴の後にミュウが大きな声を上げる。その声の方を向けば、涙目のミュウがルークの足に抱き付いていて……もう一つの悲鳴の主であるアニスがガイの背中に抱きついた。鼠に悲鳴を上げた一人と一匹。
「ーーうわああぁっ!や、やめろぉっ!」
アニスが抱きつき、目を見張ったと思った瞬間……突如、ガイが悲鳴にも似た大声を上げた。背中に張り付いていたアニスを力一杯引き剥がして、床へと突き飛ばした。
「……ガ、イ?」
瞬時的に受け身を取ったけど尻餅をついたアニス。私を含めた一同は何が起きたのか分からない。
「な、何……?」
当の被害者であるアニスも何が起きたのか分からず、目をぱちぱちとさせる。アニスじゃなかったら、イオンや一般の人だったら大怪我をしていたかもしれない。それくらいガイのアニスにした行為は凄まじいものだった。
「……あ…お、俺……すまない。体が勝手に反応して……悪かったな、アニス」
我に返ったガイは少し顔が青ざめていて、作り笑いを浮かべる。けど手は差し伸べない……いや、差し伸べられないんだった。彼は……女性恐怖症だから。
「(本当に?)」
ふと疑問が過ぎる。ただそれだけなのか?って。
「怪我はないか?」
「……う、うん」
謝罪はしても手を差し伸べない。変わりにイオンが手を差し出してアニスを立たせてあげる。ひんやりとした空気が流れる…正直、重いんだけど。まるでガイの動揺がみんなに移ったかのようだ。