12 彼に募り、彼女に蘇る悲しき記憶
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「総長……ごめんなさい……アッシュに頼まれて…」
「アッシュだと?」
腕の中のぬいぐるみに顔をうずめ、呟くアリエッタ。アリエッタに剣を突き付けるヴァンの手が揺れた。私からは顔は見えないが、声からは動揺が感じられた。その時、アリエッタが手を挙げた。何かの合図だったのか、空飛ぶ魔物がアリエッタの頭上に現れ、彼女は魔物の脚を掴んで空高く舞い上がる。
「船を修理できる整備士さんは、アリエッタが連れて行きます……返して欲しければ、ルークとイオン様が、コーラル城へ来い……です」
来なければ整備士を殺すと言ってアリエッタは空の彼方へと飛んでいってしまった。整備士が連れ浚われた…船は見た感じ壊れている。さてどうしよう。
「ヴァン謡将、他に船は?」
「……すまん、全滅のようだ」
ガイが他に船はないのかと問うとヴァンは首を振り、連れ去られた整備士がいないとエンジン部が修理できないと。訓練船を待つしかないと言う。
「アリエッタが言っていたコーラル城というのは?」
「ファブレ公爵の別荘だよ。前の戦争でこの辺りに戦線が迫ってきて放棄したんだ。七年前、誘拐されたルークが発見された場所でもある」
ガイの言葉にルークは「へ?そうなのか」と初めて聞いたと言う。全然覚えてないと頭を掻く。本当に記憶喪失なんだ……十才より以前の記憶がない。なんか、嫌な予感がする。
「当たりそうですよ。その予感」
「人の心ん中を読まないでよ」
ルークの件もだけど今のアリエッタの襲撃の件でも不安が過ぎっているとみんなはコーラル城に行く行かないと口論している。
ルークはヴァンが行かなくていいのなら行きたくないと言い、仕方ないから一度国境に戻ろうとしたときここの整備士に呼び止められて、連れ去られた整備士の隊長を助けてくれとイオンに懇願してきた。ここで私の予感は一つ的中。イオンは承諾し、更にティアとアニスの言葉に私たちはコーラル城に向かうことになった。