11 I do not forget it
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「でも何だって、ロニール雪山なんかにいたんだい?」
「あそこは魔物巣窟です。危険だったのでは?」
手入れの終わった剣を鞘に収め、私の方を見てガイが問えばイオンも頷いた。
「私の両親は商人でね、ロニール雪山にある珍しい物を探しにきてたの」
ただそれが何だったのかは両親じゃないと分からないと答える。あまり嘘を重ねると後で辻褄の合わなくなるところが出てくる。ある程度までならジェイドがフォローしてくれるし。
「紫鶴の両親は残念ながら発見できませんでした。雪に埋もれかかっていた紫鶴だけが助かったんですよ」
眼鏡の位置を直しながらジェイドが言えば更に空気が重くなった。あんまり人に言いふらすことじゃないんだけど、あのまま曖昧な返事をするとアニスがうるさそうだし。
「ちなみに知ってましたか?紫鶴」
「なにを?」
急に話題を変えるジェイド。いきなり知っていたかなんて言われても何のことだかサッパリ分からない。
「あなたの二つ名…『マルクトの舞姫』と名付けたのが陛下だったのを」
……はい?
……何言ってんの?
誰が名付けたって…?
「ピオニーだったの!?嬉しくも何ともないこんな名前付けたの!」
信じらんない!とジェイドの胸倉を掴めば「私に言っても仕方ないでしょう」とやれやれと言った感じで肩を竦められた。
「ジェイドが知ってたってことは、まさかアスランも知ってるんじゃ!?」
掴んだ軍服ごとジェイドの体を揺らせば、ジェイドはにっこりと満面の笑みを浮かべた。それは肯定の証…知らなかったのは私だけ。
「サイテー」
「紫鶴」
少しドスをきかせた声で呟くように言う。胸倉を掴んでいる私の手を退かしながらジェイドが私の名を呼ぶ。「何よ」とふてくされた風に返事をする。