11 I do not forget it
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「さっきはごめんなさい」
宿で一息付いているところにティアが私の側に来た。落ち着いたのかもう殺気もなく、少々申し訳なさそうに目を伏せていた。
「いいよ。こっちも仕事とはいえキツく言い過ぎたし」
「そう言えばさぁ」
手をひらひらさせながら笑い返せば、アニスが思い出したように声を上げた。
「どうした?」
ベッドに腰掛け、ルークと一緒に剣の手入れをしていたガイがアニスに顔を向ける。
「大佐って、紫鶴には妙に優しいですよね?ただの部下ってだけじゃないかんじ?」
頬の脇にに人差し指を立てるアニス。またその話題かと、うんざりした表情を浮かべる。
「この前は言い損ねたけど、ジェイドは私の後見人なの。何かあればジェイドの責任になっちゃうし」
「後見人って……」
私の言葉にティアが首を傾げた。
「紫鶴は孤児なんですよ。二年前にロニール雪山で一人倒れているところを私が見つけたのです」
「その時に両親を亡くして、行く当てのない私をグランコクマに連れてってくれたジェイドに陛下がそう命じたの」
みんなに嘘を付いた。ロニール雪山で倒れているところをジェイドが助けてくれたこととピオニーが命令したのは本当だけど……私の両親はロニール雪山で死んでないし、この世界の人間でもない。でも何があるか分からないから本当のことを言うわけにはいかない。この事を知っているのは数少ないのだから。
「…そう、だったの」
少し沈黙が流れた後、静かに呟いたのはティア。聞いてはいけないことを聞いてしまった、と言ったよう視線を下に向けた。話の言い出しっぺであるアニスも罰の悪そうに黙り込んだ。
「もう二年も前のことだよ?」
私なんかのことでこんな暗い雰囲気になられるのも嫌だから、今更みたいな言い方をしたけど何だかこの雰囲気は拭えないみたいだ。