11 I do not forget it
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「ティア」
睨み合いを続けているティアとヴァンの間に私が割り込む。ティアが小さな声で「紫鶴?」と私の名を呼ぶ。私は一度ヴァンのほうに視線を向けてから、すぐにティアのほうに向き直る。
「どいて!私は――っ」
「ここで諍いを起こすというのなら私は……あなたを拘束しなければならい」
何か言いかけたティアの言葉を遮り、先ほど収めた葛の葉の柄に手を掛ける。私の言葉にティアは目を見開き「えっ?」っと声を上げた。
「ここはまだマルクト領。その領地内で刃傷沙汰を起こすと言うことはその覚悟があるんだよね?」
ジッと睨み付ければ、ティアは事の重要性に気付いたのか、構えを解いた。
「ともかく、頭を冷やせ。私の話を聞く気になったら宿まで来るがいい」
ティアから殺気が無くなったを見てヴァンはティアに背を向けて、宿の方へと歩き出した。
「ティア、ゴメンね」
「…ティア。ここはヴァンの話を聞きましょう。分かり合えるチャンスを捨てて戦うことは、愚かだと僕は思いますよ」
ティアの気持ちも分からなくもないけど、領地内で私とジェイドの連れが騒ぎを起こしたとなると色々面倒なことになる。それにたかが兄妹喧嘩で血を流すようなこともこちらとしては困るわけだし。邪魔をされたと思っているのか、少し睨み返してくるティアと私の側にイオンが寄ってきて微笑みながら、諭すように言った。
「……イオン様のお心のままに」
納得はしていない。でもイオンには逆らえない。溜息にも似た息を吐いてそう言い、手の中のナイフを仕舞った。
「行きましょう」
この一連をずっとただ見ていたジェイドは私の肩を抱いて、ヴァンの待つ宿の方へと歩き出した。お、怒らせたかな?二年も一緒に暮らしてると何処となくその雰囲気は分かる…少し、怒ってるぽいな。あとでフォローしなきゃ、長い説教か怖い沈黙という名の圧力が待っているからね。