11 I do not forget it
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ジェイドの許可を得て、アリエッタとライガを瘴気の当たらない場所に移動させて私たちはフーブラス川を後にした。
「紫鶴、ありがとうございます…ですが、あなたが……」
「いいよ。寝込みを襲う卑怯な真似は好きじゃないだけだから」
礼を述べるイオン。けど私がけして善意からアリエッタを助けたわけではないと答えればイオンは目を伏せ悲しそうに顔を歪めた。
私がアリエッタに言ったことは事実だし、元武家の当主としてはそんな卑怯な行為は許せないだけ……イオンには悪いけどね。
「あれ、アニスじゃねぇか?」
カイツールに辿り着き、安堵の息を吐いていると国境の門の前で門番に検問を受けているアニスの姿が見えた。
「証明書も旅券もなくしちゃったんですぅ。通して下さい、お願いしますぅ」
体をクネクネと動かせば頭のツインテールと背中のトクナガも同じ様に揺れている。
「残念ですが、お通しできません」
アニスの懇願は虚しく、門番は首を横に振り、門の先を通すことを許さなかった。
「……ふみゅぅ~」
肩をがっくりと落とし、項垂れる状態で踵を返したアニスだったが次の瞬間………
「…月夜ばかりと思うなよ」
声音を低くして横目で門番を睨みつけた。
「アニス、ルークに聞こえちゃいますよ」
ガイ一人が顔色を変えている中、イオンがにっこりと微笑んでアニスの名を呼べばアニスはまだ低い声のまま「んっ?」と返事してこちらを向いた。
「きゃわーん、アニスの王子様Vv」
さっきまでの悪人面は何処に行ったのか満面の笑みを浮かべ、また体クネクネさせたアニスがルークに向かって体当たり……もとい抱きついた。