10 月夜に浚われて
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「軍人とか関係ないだろ?君は普通の女の子だよ」
サラリと言うガイ。うーん、ガイって天然フェミニストなんだね。ナチュラルにそんな事言う人がいるなんて思わなかった。
「ガイは優しいね……普通の女の子はこんな物持たないし、人も殺したことないよ」
「…っ!そ、れは」
腰の葛の葉を手にして小さく微笑めば、ガイは眉根を寄せて困った表情を浮かべる。私はもう数え切れないほどの人間を殺している。小規模とはいえ戦争も体験している……こんな子が普通の女の子なんかじゃない。
「その剣…見せてもらっていいかな?」
気まずい空気が流れる中、話を反らすかのようにガイが私の刀に視線を向けた。
「いいよ」
ベルトから刀を外してガイに渡す。女性恐怖症のガイには近寄れないから私は剣先の方を持ち、ガイには柄の方を向ける。
「ありがとう」
慣れたように刀を鞘から抜く。そう言えばガイも刀使ってるんだっけ?何かこの世界じゃ刀使ってるの珍しい気がするな。
「……はぁ」
月を映し出した葛の葉はいつもに増して美しく見えた。ガイも見惚れてたのか何とも言えない息を吐き、その刀身を見つめる。
「…何て美しい剣なんだ」
「己の芯の強さを振りかざすが為に…」
刀を見つめるガイにぼそっと私が言うと彼は刀から私に視線を移す。
「それは?」
「その刀の意味だよ…葛の葉は、うん……」
言葉が続かなかった。何て言えばいいんだろう。私自身まだこの刀の意味を持つ"己の芯の強さ"は分かっていないというのに。私は……この意味を理解できるのかも分からない。
「紫鶴?」
ガイの声に「ゴメン」っていつの間にか俯いていた顔を上げる。
「――っ!?」
女性恐怖症の彼が近づける一番の距離にガイの顔があった。思ったより近づけるんだなと思うのと同時によく見れば結構美形な顔が目の前にあったのに驚いて後ろに一歩下がる。