10 月夜に浚われて
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「わぁ…月が綺麗……」
ふと見上げた空には満月が浮かんでいた。夜空に浮かぶ満月と星と、そして譜石。それらが輝く空をこんなにのんびりと見上げたのはいつ以来だろう。仕事が忙しいとそんな事をしようなんて思わないから。
「綺麗…」
もう一度呟く私。その美しさはまるで私の心の中の汚れをより一層目立たせているかのようだ。先日、久々に湧き起こった私の闇の部分。ジェイドのおかげでそれも落ち着いていたのに……
「紫鶴」
睨み付けるかのように夜空を見上げていた私の名を誰かが呼んだ。ゆっくりとその声の方に振り向く。
「ガイ…どうしたの?」
外を出歩くには少しばかり遅すぎるというのにガイが外にいることに驚く。
「君の帰りが遅いから迎えに来たんだ」
「大丈夫だよ?軍服着てる軍人をわざわざ襲う人なんていないよ」
報告書を出しに行くと言って元帥の元に出掛けてもう一時間以上経つというのに帰ってこない私を心配して迎えに来たと言う。ガイは私の強さを知ってるはずだし、マルクト領内の街でマルクトの軍人に手を出す馬鹿もいないのに…心配性だなって苦笑する。
「それでも君は女の子だ。こんな時間の一人歩きは危ないよ」
どれくらい振りだろう……普通の女の子の扱いされたの。そりゃあ、ピオニーやアスランはそれなりに私を女の子扱いするけど、私の強さを知っているからその辺りに関しては信頼してくれてるし。
「何か、新鮮…」
「何がだい?」
口元に手を当てて首を傾げる私にガイが目を丸くする。いきなり新鮮とか言われても分かんないよね。
「んっ?…普通の女の子みたいな扱いって久々だなって」
この世界に来てから軍に入ってから…女の子というよりはもう軍人としての扱いしかされてない。みんな、私の実力は知ってるしジェイドにも一目を置かれているから尚更ね