03 蒼を纏い日々綴る
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いきなり後ろから抱きつかれて乙女には程遠い悲鳴を上げると、耳元で声がした。誰かと思えば、また仕事を逃げ出したのか私に抱きついたのはピオニーだった。
「陛下!離してください!」
「ピオニーって呼んだらな」
両腕ごと抱き着かれてしまっているため振りほどくこと出来ない。私が呼び捨てで呼べないことなんて分かっているくせに。周りも相手がピオニーだからなのか、ピオニーと私が親しそうにしているのが不思議なのか唖然としている。私も多少の護身術は身につけているけど、痴漢相手じゃないからそれを実行できないで困ってしまう。
「…陛下いい加減にしてください。紫鶴ももう少し女性らしい悲鳴をあげなさい」
みしっと音がした。何とか首を後ろに向けると、にっこりを微笑みながらピオニーの後頭部を掴んでいるジェイドがいた。ピオニーは「あいたたたたっ!」と悲鳴を上げ、ようやく私を抱きつく手を放す。
「大丈夫かい?」
「すごいのね。あの大佐相手に」
開放された安堵感にほっと胸を撫で下ろしていると声を掛けられた。掛けてきたのはずっと観戦していた団員達。一人二人と声を掛け始めたら、あっという間に他の団員たちも声を掛けてきて囲まれる。ジェイド相手にここまで抗戦できる者はいなかったらしく、それがどうやら好印象になり声を掛けるきかっけになったようだ。
「おっ、何だ。大丈夫そうじゃねぇか」
「要らぬ世話でしたかね」
後で聞いたけど、どうやら途中入団の私がすぐに輪の中に入れるようにの不器用なおっさんどもの気遣いだったらしい。下手に腕の差を見せ付けて逆に気まずくなったらどうするつもりだったんだろう…。
軍人としての一日目は散々だった。