00 始まりの兆し
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夕暮れ時――道場に差す光は綺麗な橙色。広い道場の中で少女が一人、真剣を手にし構えている。
白一重の上着に黒の袴を身に纏い、胸元まである栗色の髪は左右で三つ編みされてる。背筋はピンと伸び、真剣を構えている手元は揺れることない。その姿は凛としていて見る者の目を奪っていた。
道場の端で正座をして少女を見ている同じように上下黒の胴着を纏っている者たちは瞬きを忘れたように見つめている。
「はっ!やぁっ!!」
構えた真剣を振りかざし、まるで舞を舞っているかのように少女が真剣を振るう姿は美しかった。
誰かと剣を交えているわけでもないのに、その迫力に見ている者のは息を呑む。
ざっ!
数分間がたった数秒にも感じられるほど、瞬く間に終えた剣舞。少女に姿に見惚れていた生徒たちが現実に戻ってきたのは、少女がその場に正座し、刀身を鞘に戻して目の前に横向きに置いて生徒たちに手を着いて礼をしたときだった。ハッとして生徒たちも慌てて同じように手を着いて礼をする。
「見事だったぞ、紫鶴」
少女と生徒らがいる場所の反対の方向から年配の、それも威厳のありそうな声がした。全員がそちらの方に顔を向ければ、道場の入り口に少女と同じ白一重と黒の袴を身に着けた小柄な老人が立っていた。
「…師匠」
少女―紫鶴は正座をしたまま老人の方に向き直り、再び礼をする。師匠と呼ばれた老人が片手を挙げると、生徒たちは老人に一礼をしてそのまま道場を後にした。
「腕を上げたな」
老人は紫鶴の傍に寄り少女の前で腰を下ろした。その間、礼をしたままだった紫鶴は老人が座ると下げていた頭を上げた。
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