静寂な月夜に
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「付き合うの、みんなに言うんですか?」
「真咲は嫌ですか?」
質問を質問で返されてしまった。言いたがる心理はよくわからない。かと言って隠し通せるほど私はポーカーフェイスでもない。
「嫌、と言うか何て言うか……」
やっぱり恥ずかしいとか照れるとかが先に出てきちゃう。仲間同士と言うのも理由の一つとして。周りから見るとどうなんだろう。一緒に旅する仲間に恋人関係な二人がいるというのは。
「言わずともすぐにバレますよ」
勘のいいアニスがいますからね。はいそうですね。この会話でがっくりと肩を落とす。
「そうされるとさすがに傷付きます」
「恥ずかしいんです」
わかってるくせに、って言ってやりたい。言っても無駄だろうけど。
「それで、いつ離してもらえるんですか?」
もう何十分この体勢でいる気だろう。嫌じゃないけど、温かいし。ちょっと話しづらい気もするんだよね。
「一晩中でもいいですが、そろそろ休まなければなりませんね。特にあなたは」
「返す言葉もありません」
体の調子は戻っているけど完全でもないし。この間のはここに来てから一番辛かったし。頑張れば人間って生き延びられるという事は知ることが出来た。命がけだけど。
「真咲」
「きゃっ」
今度は何するかと思えば抱き上げられる。さっきから一体どれだけ驚かせれば気が済むんだろう。私を横抱きにした状態で歩き出すジェイド。
「ジェイドさん!?」
「部屋の前までです」
駄目と言っても聞いてもらえないだろう。大人しくジェイドの首に手を回して落ちないようにする。彼が落とすとも思えないけど。
「……好き、です」
一度溢れた想いは止めどなく流れ出る。離さないで、側にいて。我が儘にも似た願いだけを望んで。
「そんな事言うと今すぐ襲いますよ?」
クスクスと笑いながら、私の額に唇を落とす。やりかねないから正直怖い。本当に部屋の前までその状態で送ってもらい、おやすみのキスをしてベッドへと潜った。火照った体では眠ることは出来ないだろう。喜びで満ちた心が眠らせてくれない。そんな一夜だった。
想い叶ったこの夜に…</br>(あなたを愛してます)