「……真咲」



先程まで彼女の感じていた自身の手を見つめる。何故あのような行動を取ったのか分からないが、もし真咲が私に抱きついたままだったら、正直何もしない自信はなかった。見えない恐怖にまた一人で泣くと怯えるというのなら細い体を力いっぱい抱き締め震える唇を塞いでいたのかもしれない。



「まさか、この私がこんな事を思うようになるとはな」



思いもしなかった。誰かを愛するなどと、離したないと思うなど思いもしなかった。



「………はぁ」



あのまま追わなくてよかったのか。しかし突然の出来事に呆けずに引き止めていたらどうなっていだろうか。再び、私の腕の中に閉じ込めていたらきっと……



「無理矢理でも私のものにしていたかもしれないな」



どんなに泣こうが嫌がろうが無理矢理……まぁそんな事をしたら嫌われるだけだろうが。それほどまで私は真咲を愛してしまい離したくないと思うようになった。



自嘲気味に笑みを浮かべれば再び真咲の顔が浮かぶ。笑顔に怒った顔に泣き顔に悲しみに満ちた顔。全てが愛おしい。彼女の全てが欲しい。



「……真咲」



どうこの想いを伝えようか。今すぐにも想いを伝えたい。この腕に閉じこめたい。もう彼女一人に辛い思いはさせたくない。創世歴時代の少女の生まれ変わり？ユリアと仲違い？そんな事は知らない。何故、居もしない人間のために真咲がこんな目に遭わなくてはならない。



「真咲……愛しています」



今は告げることは出来ない。元帥がセントビナーの人々が我々を待っている。これ以上の被害を出してはならない。だからこの状況が落ち着いたら伝えようーー







『あなたを愛している』と……