酒は吞んでも飲まれるな!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
思えば始まりはこの一言だった……
「少々出掛けてきますので皆さんは先に休んでいて下さい」
ジェイドがそう言ったとき時計の針は七時過ぎを指していた。今日の食事当番のティアとアニスがそろそろ準備を始めようとしているときだった。
「え~これからですかぁ。それより何処に行くんですかぁ?」
「飯はいらねぇのかよ?」
今時間から出掛けるなんてとみんな顔を見合わせる。ルークの問いに「ええ、いりません」とだけ返して何処に行くのかは言わなかった。
「本当に何処に行くんだ?ここだと…マルクトの領事館か?」
今、パーティがいるのはケセドニアのマルクト側。ジェイドがこの街で行くとしたらそこしか思い当たらないと。だがジェイドは「違います」と否定をしたがそれでも何処に行くのかは口にしなかった。
「私、分かったかも…ジェイドさんが何処に行くのか」
「華には分かりますの?」
「でも…何処なの?」
ぽんっと手を叩いた華が「分かった」と言うと側にいたナタリアとティアが彼女に首を向けた。たったこれだけの会話で何処に行くのか分かったのかとみな不思議そうな表情を浮かべる。
「華はジェイドが何処に行こうとしているのか分かったのですか?」
「はい」
「何処なんだ?」
イオンの問いに華は頷く。ルークが目をぱちぱちさせて首を傾げる。
「ケセドニアでジェイドさんが夜にわざわざ行くような場所ってことは酒場なんじゃない?」
どうですか?とにっこり微笑みながらジェイドを見る。その笑みは確信と自信に満ちていた。否定をしないジェイドにもう一度どうですか?と尋ねる。そうなのか、と一同もジェイドに顔を向ける。
「…そうですよ。よくわかりましたね」
「領事館に行くなら昼のうちに行くでしょうし、他にジェイドさんが行きそうな所って言ったらそこしか思いつかなくて」
それにケセドニアの酒場なら各地のお酒とかあるから、と思ってと続けた。それを聞いてジェイドも「その通りですよ」と頷く。華の推理にみな「はぁ~」と感嘆の声をあげた。まさか答えが酒場とは思わなかったから。