うれしい!たのしい!大好き!
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「キレイだなぁ…」
譜石と星が輝く夜空を見上げながらぽつりと真咲が呟く。この世界に来てから野宿になると夜空を見上げるのが癖になっていた。
――ここに来たときはどうなることかと思ったけど…だけど、今は。
オールドラントに来てからのことを振り返る。この世界、オールドラントに来てもう数ヶ月が経つ。
「真咲」
他のメンバーと一人離れぼーっと空を見上げていると後ろから声を掛けられた。聞き慣れたその声に真咲はゆっくりと振り返った。
「また何か思い悩んでいるのですか?」
あなたが一人でいなくなるときは大体そういう時です、と付け加えながら真咲の隣に立ったのは蒼い軍服を身にまとったジェイドだった。
「悩んでいるわけではないですよ」
隣に立つジェイドに微笑む。ジェイドのほうはその言葉を信じていないのか眉を寄せて顔をしかめていた。
「ただ…幸せだなぁって」
「幸せ?」
再び夜空を見上げながら真咲は静かにそう言った。真咲の顔を見つめたままジェイドは彼女の言葉を繰り返す。
「はい。だって、突然トリップして魔物に襲われそうになって死にそうにもなったけど。でも、ジェイドさんにもルークにもみんなにも出会えました。こうして一緒に旅もしてます」
まぁ、遊びの旅じゃないですけどと、ぺろっと舌を出す。
「…それでも、一人じゃない。私一人だったら、魔物に襲われてか寂しくて辛くてかで死んでたかもしれません。だから…ジェイドさんやみんなに出会えた私は幸せなんです」
目を閉じ胸の前で手を組む。まるで祈るかのように。その姿にジェイドは目を開き息を呑む。
「…そうですか」
優しく微笑んでジェイドは真咲の頭を撫でる。この行為はすでに癖となっている。
「そうですよ♪」
もうこれが心地良くなっている真咲は拒まない。
「おーい。真咲!ジェイド!」
名を呼ばれ真咲とジェイドが振り返ると野営地からルークら他のメンバーがこちらに駆け寄ってくる。
「どうしたの?」
「どうしたのじゃないよ!真咲こそまた一人で何か抱え込んでるでしょっ!?」
腰に手を当てて「いつもそうなんだから」とアニスが頬を膨らませて怒る。みんなもうんうんと頷く。
「そうだぜ。何かあるなら言ってくれ。みんなキミのことが心配なんだ」
「そうですわ!わたくしたちに出来ることがあるのなら何でも言ってください!!」
ガイもナタリアもアニス同様に怒っているようにも見える。そんなみんなの姿を見て真咲は最初は驚きで目を丸くしてしまったが、すぐに微笑んだ。
「真咲?」
ティアが微笑んだ真咲に少々怪訝な表情をする。みんながこんなにも心配しているというのになぜ微笑むのか、と。
「ううん。なんか…嬉しくて」
「嬉しい?」
もう一度、胸の前で手を組んでみんなを見回す。
「私、本当に幸せ者だ。こうしてみんなと出会えて、笑いあえる、心配もしてもらえる…一人じゃないって。私、みんなと居られて嬉しい、楽しい…みんな大好きだよ」
満面の笑みを見せて言う真咲に全員が目を見開いて驚く。彼女がこんな笑みを見せたことが無いから。
「僕も真咲と出会えて幸せです」
イオンも笑顔を見せながら言うと、他の面々も俺も私もと声をあげる。それを見て真咲は本当に幸せそうに微笑む。
「さぁ、もう戻りましょうか」
真咲を囲ったまま、まだわーわー騒ぐルーク達にジェイドが助け舟を出すように切り出した。それもそうだと次々に野営地に戻っていく。
真咲も戻ろうと足を野営地に向けると、不意に腕を掴まれた。ここに残っていたのは真咲のジェイド。何?と、振り返ろうとすると、
「私もあなたと出会えて幸せですよ」
と、耳元で囁かれた。真咲は耳元でそう囁かれ顔を真っ赤にして耳を押さえたが、すぐに微笑み返す。
――私は本当に幸せ者だ。この幸せがいつまでも続きますように…。
あなたたちに出会えたことが私の幸せ
うれしい!たのしい!大好き!
タイトルはドリカムから借りて使いました。
本編ではまだナタリアは出てきてませんが、崩落後のどこかということで。
1000hitありがとうございました!