届かぬ一手
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「その男が真咲と同じ世界から来た奴なのかい?」
あれから街の中を捜してみたけど私が見かけた青年は見つけることが出来なかった。ダアトの街に詳しくないというのもあって脇道に入られると全くわからなかった。
「たぶん…あくまで私の勘だけど…」
「勘でも今は他に手掛かりがないので一つの情報とおきましょう」
ただその青年を後ろ姿とは言え見たのは私だけ。ジェイドからは見えなかったらしいので現状では私の目撃情報しかない。ダークブラウンの髪に少し細身の青年。これくらいしかわからなかった。
「しかし一緒にいたジェイドが気付けないとなると相手は余程やり手なのか?」
「後ろ姿だけじゃわからないけど、そんな風には見えなかったよ」
チラリとしか姿を確認できなかったから武器の有無はわからない。私より背が高く、動体視力も観察眼も長けているジェイドでも気付かなかったのは確かにおかしい。
「え、私幽霊でも見たの?」
「気配を消すのが上手いのかもしれませんね。一般人に溶け込まれたら私でも気付きません」
ダークブラウンの髪色じゃありきたりと言えばありきたりだからそれだけでは捜せない。正面とは言わず、横顔でも見れてたら違ったのに。
「気配を消すか…三年近くも隠れてたなら強ち間違いじゃないと思うが…」
現実的ではない、とガイは続けた。私と同じ世界から来たのならあの遺跡の中だけで生活ができるわけがない。少なくとも食料を買う必要はあるから街に行かないってことはないと思う。
「地球から来たとしてお金や文字の読み書きとかはどうしてたんだろう?私はみんながいたからお金の心配もなかったし知識も得られたけど」
そもそもの通貨が違うからお金を稼ぐ必要がある。魔物を倒して稼いでたとしても地球の人間が魔物を倒せるほど強いとは思えない。文字の読み書きだってジェイドを中心にみんなに教えてもらってなんとか覚えた。
「お金のことに関してはともかく、真咲が身につけたような知識は独学かもしれません。それが出来るほど、頭のいい人物なのではないでしょうか」
私がなみんなに教わって何ヶ月もかかって得た知識を独学って…まるでジェイドがもう一人いるようか感じだ。いや、私がそんなに頭が良くないから覚えられなかっただけかもしれないけど。