見えた影
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「それで街の中を見て回ることになったんですね」
ダアトに来てからほとんど部屋の中に籠って資料やパソコンなどとにらめっこしていて、酷い時は徹夜。そんな状況が続いてた中、いきなり街へ行きましょうと言えば怪訝な表情の一つもされる。
「嫌でしたら宿で待ってくれてもよかったんですよ?」
正直、収穫の有無の可能性を問われたらない方が大きいのかもしれない。でも何もしないよりはマシだ、と思っている。
「これも仕事ですが、この状況下でこんな風に出来るのなら喜んで付き合いますよ」
「……っ!!」
ちゅっ、と繋がれた私の手の甲を唇で触れる。繋ぎ方も所謂、恋人繋ぎ。一応、変装ではないけど二人とも軍服ではなくて私服に着替えた。オールドラントに戻ってから見たことが無い訳じゃないけど、未だ見慣れないジェイドの私服にかなりドキドキはしている。軍服に見慣れ過ぎたせいなんだけどね。後ろで髪を結っているせいなのか色気まで感じるし。何か私だって生物学上女なのに自信なくしそう。
「あなたも十分綺麗ですよ、真咲」
「だから読心術はやめてくださいって……」
これさえなければと何度思った事か。まぁ、今更だからどうしようもないんだけどね。それに、こんな風に一緒にいれるんだから良しとしておかなきゃね。
「しかし、見ただけでわかるものなのですか?」
「可能性はなくはないです。私の世界にはたくさんの人種がいるので……っ!?」
ふと視界に入った青年。ダークブラウンの髪の青年。ほぼ直感的に彼だと思った。ジェイドの制止も聞かずにその背中を追った。人混みをかき分けて追いかけたけど、追い付くどころかその姿は視界から消えてしまった。
「真咲っ!!」
立ち尽くす私の肩に手が置かれる。声の方へと視線を向ければそこには険しい表情のジェイド。
「たぶん、見つけました…」
見失ってしまったけど。けど収穫がなかったわけじゃない。それでけでも十分かな。
「ですが何の為に二人で見回ってたのか忘れましたか?」
「す、すみません。咄嗟に動いちゃ…て…」
見上げるとセリフとは裏腹に笑みを浮かべている。あれ?なんか悪寒が走ってるよ。
「おしおきが必要なようですね。夜が楽しみですね」
「い、いあやぁぁぁぁぁっ!!」
私の悲鳴は教団本部にまで届いたそうだ。