暗雲の兆し
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「少し一人で調べさせて」
そうお願いして机周辺を調べ始めた。私しか読めない文字ばかりだからいちいち通訳してると余計な時間を食うから。一部読めないものもあるけどまぁそこは何とか訳してみる。こうして机の上を見ているだけでなんだか違和感を覚える。おかしい。おかしいのだ。この状況が。
「何がおかしいのですが?」
「……お願いですから人の心の中読まないで下さい」
そんなに表情に出していただろうか。しれっと人の隣に立ってそう尋ねるんだから。ただ机の上を見ていただけなんだけど。それをこの人に言うだけ無意味なことなんだろうな。
「まるで、隠す気はない。見つけてくださいって言ってるみたいで」
いくら今まで見つからなかったくらい見つかりにくい場所にあったとはいえ何一つ隠そうとしていない。パソコンもこの机に置いてあったというし壁のメモなんてすぐに目に付く。
「文字が読めなかったとしてもこの遺跡が見つからない保証なんてないのに」
「だから隠す気はない、ですか。確かに不自然ですね。あなたが訳してくれたコレを書くような人物が慎重でないわけがない」
一瞬で焼け野原に出来る兵器。その内容を特にロック掛ける事もなく誰でも見れるようにしてあった事から不自然だったんだ。見られても誰にもわからないから?でも怪しい、不審な物として回収される恐れだってあるのに。
「わざと、なんですかね」
調査、回収される事を前提に放置した。その可能性が一番高くなっている。でもその目的が見えない。このパソコンの持ち主が見えない。確実に私と同じ世界から来た人間なのはわかっているけど。
「他に何か気にかかる事でも?」
「……たぶん、なんですけど。この人物は、私と同じ日にオードラントに来たんじゃないかって」
データの制作日があの日の昼。それ以降の保存日は表記されていない。ただそれだけなんだけど、でも私と同じ日にトリップしてきたって方がしっくりくる。
「今まで誰にも気付かれずにいたと言うのですか…」
「可能性は高いかと。確かにダアトに近いここでヴァンや六神将に気付かれずにっていうのは難しいかもしれませんが」
もし私の思う通りなら少なくとも三年以上はこの世界に滞在している事になる。誰の助けも借りずに三年も…と考えると複雑な気分になる。