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「……不平等、ですか」
しばしの沈黙の後、ぼそりと呟くように口を開いたのはジェイド。その言葉の意味はここにいる者は皆身に覚えがあるもの。その人から見たら平等でも他から見たら不平なものなんて溢れるほどある。
「真咲、どうしたの?」
軍服の裾をくいっと引っ張ったのはアニス。怖い顔をしてるよ、と普段のおちゃらけた様子ではなく眉を寄せて私を見上げている。
「この人は……世界を壊したいくらい、世界を恨んでるのかなって」
パソコンの中にあったデータ。あれは何のためのデータだったのだろうか。ただのデータなのか地球で使うつもりだったのか、それとも……このオールドラントでだったのか。
「……あっ!」
意味はないのかもしれない。けど思い返してみればそれは一度も確認したことがない。どうした?と全員が私の方を見る。とりあえずパソコンを起動させる。それが保存されていたフォルダーのプロパティを開き、日付を確認する。
「真咲?」
画面を見つめたまま何も反応しない私にジェイドが肩に手を置いて顔を覗き込んで来る。
「……日付が」
そう、確認したかったのは最終更新日。最後にいつこのフォルダー内のものを保存したのか。だったんだけど。
「日付?」
「このデータを作成したのは……私が事故にあってオールドラントに来たその日の昼。最終更新日……表示されてない」
日付の部分は全てアスタリスクで表示されている。意図的なのかそれともオールドラントではやはり1年辺りの日数が違うからなのか。そこまでパソコン機器が強いわけじゃないかはわからない。
「どういうことなのぅ?」
「もう少し、ここを調べてからでいいかな」
安易な言葉は避けたい。誰がここで何をしていたのか、まだ何もわからない。壁に貼られているメモ類は全て地球の言葉。一つたりともフォニック文字で書かれたものはない。この人物はフォニック文字がわからない?
「一筋縄ではいかなそうですね」
「……残念ながら」
机周辺を見回している表情は険しい。私が渡した言語表だけではここにあるものを読み解くのは難しい。私は苦笑を浮かべながら溜息にも似た息を吐くしかなかった。