束の間の一夜
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「十分ですよ。あの資料の有無でかなり状況は変わりますからね」
そう言いながらジェイドは私を抱き上げる。驚いて思わず彼の軍服を強く握る。落とす事はないとわかっていても突然は驚くし怖い。
「今夜はガイはいませんし一緒に寝ましょうか」
「ふへっ!?」
そのままベッドへと運ばれて二人で寝転ぶ。ジェイドの発言に驚いて彼の顔を見ると同時にまた唇を塞がれる。
「何を照れるんですか。今更ですよ」
「い、今更でも…です」
確かに今更といえば今更。二年ぶりにグランコクマに戻ってからダアトに向かうその日までの数日の一緒のベッドで寝てし、それ相応の事もあった。それでも、私にとってはまだの対象なのだ。何せ相手がジェイドなだけに慣れるまでもう少し時間が掛かりそうだ。
「ジェイドさんはわかってないんです」
自分がいかに完璧な人間なのか。性格以外は完璧な人間が恋人で、そういう関係でいられる事が夢じゃないかと未だに疑ってしまう。ましては平凡以下の私が相手なのだから。
「私は真咲がいいんですよ」
臆面もなくさらりと言うからこっちは照れるのに。でもギュッと抱きしめられれば彼の温もりと香水の匂いに安堵を覚えて自分からも腕を回してしまう。
「それともまだ夢見心地だと言いますか?」
「言いませんよ。私だって……ジェイドさんがいいんです……」
ジェイドのように面と向かっては言えないから彼の胸に顔を埋めたまま言う。一度は手放した。自分勝手な理由で。なのに彼はそんな私の手を取ってくれて、大事にしてくれる。
「まぁあなたがどんなに嫌がっても手放す気なんてないですが」
「手放すと好き勝手しにどっかいっちゃいますよ」
冗談で言ったつもりなのに何もコメントが返って来ない。そーっと顔をジェイドの方に向けると眉間に皺を寄せて私を見ていた。ジェイドさん?と名を呼ぶと小さな溜息を吐かれた。
「あなたが言うと冗談に聞こえません」
前科がありますからね。と言われてそう言えばと思い出す。
「明日からは大忙しですよ」
「今日だけは…甘えさせて下さい…」
不安はまだ消えない。よくない事が起こりそうで。でも今はこの身を抱く温もりに身を委ねていたい。