束の間の一夜
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「……なんだか疲れた」
ただ服を着替えたり明日の話をしたりしただけなのに何でこんなに疲れてるんだろう。小さく息を吐いて宿のベッドに腰を下ろす。あの後はジェイドとガイと三人で夕飯を取り、ガイはまだシンクの手伝いがあると教会に戻っていった。ジェイドは、充てがわれた部屋へと入ったきりだ。
「……ちょっとはな」
期待してた。ガイは今夜は戻らないと言っていたから二人きりになれるって。でも今、彼がここにいるのは仕事であって遊びではない。たぶん私とシンクが渡した資料を読んでいるのであろう。
「仕方ないか」
今夜はさっさとお風呂に入って明日の準備をして寝よう。最初は挨拶回りのつもりだったけど、私も復職したのだから。
「にしても……」
なんでパソコンなんて見つかったのだろう。私がトリップしたのは偶然ではなくて、私の知る未来とは別の未来を導く為。けどこのノートパソコンは先日見つかった遺跡から発見されたもの。
「………」
これすらも必然だと言うのだろうか。世の中、偶然なんてない。全ては必然なんだ、とあの旅を通して思うようになった。けど、こればかりは素直に受け入れられない。私という存在ならともかく、地球の機器が世界を渡ってやってくるなんて。でも、シンク達の調査によれば人がいた気配はあったと。
言い表せない不安が身体中を駆け巡る。もう、全てが終わってみんな私が知るものとは違う自分の人生を歩み始めるはずだったのに。これすらも、ユリアが詠んでいたら恐れ入る。少しばかりの恐怖を感じると同時にノック音がした。
「……はい」
ドアを開けた先に立っていたのはジェイド。まるで私の不安を察知したかのようなタイミングで現れた。どうぞ、と彼の要件を聞かずに中へと招き入れる。なんにしても入ってくるつもりだっただろうからその方が早い。
「泣いているかと思いましたが違いましたね」
両手で私の頬を挟み、そっと上を向かせる。優しい笑みに泣きそうになる。なんでいつも私の考えをいとも簡単に読むのだろうって。そこがこの人の困るところだけど助かるところでもある。だから私はつい甘えてしまう。タイミングが良すぎる彼が悪いと、彼の温もりが欲しいと抱き着く。