先ゆく不安
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「おやおや、老体に鞭を打ってくれますねぇ」
「じゃあ私一人で毎日徹夜で翻訳しますからいいですよ」
わざとらしい溜息を吐かれたからこちらもにっこり微笑んで言ってやる。実際、ガイに止められなかったら徹夜してただろうから。まだ訳し終わってない物もあるので明日からの遺跡調査への出発ギリギリまで部屋に篭っててやろうかな。
「冗談ですよ。とりあえず内容について頭に入れておく必要はありそうですね」
パラパラと紙の束を捲る。内容が内容だけに私としては胸中で溜息を吐くしかなかった。きっと彼は聞いてくるだろう。
「なーんか、とんでもない物がでてきそうですね」
「遺跡の中を調査してみないとなんともいえないけど……」
ノートパソコンだけでも驚きの対象なのに、中身が日本語だった事にも正直驚きは隠せなかった。内容もけして楽観視できる物でもなくて、遺跡の中から何が出てくるのかも不安だった。
「それを明らかにする為の調査ですよ」
そっと頬を撫でられる。私の不安を瞬時に察してしまうのだから迂闊に悩めない。それでも不安は拭えなくて苦笑いを浮かべるしか出来なかった。
「あのー、イチャつくのは二人きりの時にしてくださいさーい」
アニスの言葉にあっ、として反射的に一歩下がる。そうだった。ここはイオンの私室だったんだ。当のジェイドはしれっといつもの笑みを浮かべている。
「ご、ごめん」
これから調査って時に何をしてるんだ。つい不安から逃げるようにこの温もりに縋りそうになってしまった。それに、戻ってから一緒にいる時間も短かったからつい。
「明日の朝、シンクが先導して遺跡に案内してくれる手筈になっています。申し訳ありませんがよろしくお願いします」
「私にできる事であればいくらでもお手伝いさせて頂きます」
今回の一件、私も無関係とは思えない。私がオールドラントに戻ってくるとほぼ同時期に私の世界の物が発掘されたのだから。それも日本の物。気にならない訳がない。明日の遺跡の調査で何が出てくるのか、正直怖いけど。
「ああ、忘れてましたが真咲。これを陛下から預かりました」
と、なんだかわざとらしい思い出し方をするジェイド。その手には合流した時から持っていた荷物。それを手渡される。中身に驚くのは数十秒後。