見えざる鼓動
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「真咲。そろそろ休んだ方がいいぞ」
見ていたパソコンの画面を何かが隠す。よく見ればそれは何かの本だった。そこでようやく人の気配を感じて、顔を上げると険しい表情をしたガイがいた。
「ガイ、どうしたの?」
「どうしたじゃない。あれから何時間経ってると思ってるんだ?」
今度は呆れたといった風な顔をされた。何時間なんて経ってたかぁ、と時計を見るとすでに夜の十時を過ぎていた。まさかそんなに時間が経っているとは思わなくて、時計を見て目をぱちくりさせていれば、前方からため息が聞こえた。
「集中するのもいいが、程々にしておかないと調査の日まで持たないぞ」
「あははは、ごめんごめん」
まだ夕方にもなってなかったと思っていたと言ったら更に呆れられた。だってこれ結構な量なんだもん。
「アニスに夜食作ってもらったから一緒に食べよう」
「え?わざわざ作ってくれたの?」
私が集中しすぎて夕飯も食べる様子がなかったからアニスが用意してくれたとか。ソファーに移動するとテーブルにはサンドウィッチと紅茶が用意してあった。気付かなかったけど夕方くらいにはアニスにシンク、アリエッタが来ていたらしい。知らなかった。
「本当に随分と集中してたな。そんなに重要な事が記してあったのかい?」
「うーん…これに何か意味があるかはわからないけど、もしかしたらね」
遺跡を調査してみないと何とも言えない。ロックされていて開けないファイルもある。こちらの方が大事な内容が書いてあるのだろうけど、今は開けないし、今書き写しているこれにも何かある気がしてならなかった。
「私じゃその意味がわからなくても、もしかしたらジェイドさんならわかるかもしれないし」
正直難しい事はわからない。私の世界とオールドラントじゃいろいろ違いはあるだろうけど、情報の一つになるだろうし。
「でもあまり根を詰めると今後に響くから今日は休んでくれ」
お目付け役の意味がなくなるからな、と言われてしまっては仕方がない。今日の所はここで終わりにして宿に戻ることにした。
「……そんなに気になるのかい?」
「……うん。少し……嫌な予感がして……」
言葉に表せない不安。何故今になってこんな物が出てきたのだろうか。胸に燻る不安を抱えながら、夜空に光る月を見上げた。