その責を誰に問うか
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「む?あれは……」
「エリーゼ!エリーゼ、下がって!」
どちらにしろここには用がないと判断し街へ戻ろうと来た道を引き返す。途中、魔物が現れ皆が身構える中、エリーゼだけがぼーっとしていて気付かずにいた。ジュードの声にようやく気が付き慌てて足を止める。
「お前たち、やめんか!」
一触即発、と言わんばかりの状況。攻撃を仕掛けようと、体に力を入れたと同時に大声と地響きが起こる。上から飛び降りてきたのはジャオ。彼が魔物たちを見回すと魔物たちは構えを解き後ろへと下がる。
「すまなかったな、密猟者を追っていたのだ」
非を詫びるジャオ。しかし皆は彼が現れたことに驚き、再び身構えそうになる。
「ん、お前さんたちがどうしてここにおる?娘っ子…とうとうこの場所に来てしまったのじゃな」
自身の使役している魔物が襲おうとしていたのが私たちだとようやく気が付いたらしい。そしてエリーゼに視線を向けると悲しそうに心配そうに眉を顰めた。
「覚えておるのだろう?」
「どういうこと?」
エリーゼはギュッとティポを抱きしめるが答えない。ここはエリーゼと一体何の関係があるというのだ?
「ここはお姫様の育った研究所だったんだよ」
エリーゼがここで育った場所だったというのか。しかも研究所と言うことは、
「人体実験でもしておったのか?」
「えっ!?」
こんな人里から離れた場所に研究所など作ってこんな幼い少女を閉じこめていたというならそう言うことだろう。ジャオを睨みつけるが彼は無言で見つめ返すだけだった。
「以前、侵入者を許してしまっての。その時、この場所は放棄されたのだ」
「侵入者はお前だったのだろう?」
私の問いには答えぬつもりのようだ。侵入者がいなければまだ研究を続けるつもりだったのか。それはともかく、ミラがアルヴィンへと振り向く。
「いい勘してんな…ああ、そうだよ。増霊極についての調査だったんだ」
「なんと…お前さんじゃったのか」
あっさりと認めるアルヴィン。まさかその侵入者が目の前にいるとは思うわけもない。もしくは、別の意味で驚いたか。例えば……顔見知りが、のような。
「増霊極って何なの?」
「ア・ジュールが開発した、霊力野から分泌されるマナを増大させる装置だよ。そいつ、ティポがそうだ。第三世代型らしいがな」
ジュードの問いにすらすらと答えるアルヴィン。アルクノアに関わり合いがあるとはいえよく知ってるものだ。
「ティポ…そうだったんですか?」
「ぼくの名前はティポだねー。よろしくー」
データを抜かれて初期化してしまったティポは今ようやく自身の名がティポだと登録される。
「ティポはエリーゼの心に反応し、持ち主の考えを言葉にするのじゃ」
ジャオの言葉に全員が驚愕の表情を浮かべる。まさか喋るだけではなく、持ち主の心まで読みとるとは。それを代弁する……そのような物がこの世界にはあるのか。
「ウソです!ティポはティポが喋ってたんです!ティポは、仕掛けがあっても…私のお友達ですよね…?」
「ちがうよー。ぼくはエリーゼの友達じゃないよー」
真実を認められないエリーゼは力一杯否定する。が、ティポは自身が喋っていたという事より、エリーゼと友達だったことを否定した。
「ち、違います!」
「違わないよー。ぼくはエリーゼが考えていることを言ってるんだからー。ぜんぶエリーゼのかんちがいだったんだよ」
まるで感情を感じられない風に言うティポ。尽く否定されてしまったエリーゼは黙り込んでしまう。
「ねぇ、おっきいおじさんー。一人ぼっちのエリーゼのお父さんとお母さんはどこにいるのー?」
ティポの質問は、エリーゼの本心だろう。なぜこんな所にいたのか。研究所に両親と共にいたのではないかとか。
「…もう、この世にはおらぬ」
目を伏せて発せられた言葉。
「お前が四つの時、野党に遭い…殺されたのじゃ」
「…もう、会えないんですね。お父さんにもお母さんにもティポにも…」
更に告げられたものは幼いエリーゼには酷なものだった。探し続けた両親はすでにこの世にはなく、最初の友達は以前の記憶がない。
「エリーゼ…」
「気を落とさないで…」
「ジュードやレイアにはちゃんといるじゃないですか!みんな…!」
慰めようとするがみんな一人ではなかった、エリーゼの気持ちなどわかるもんかと走り去ってしまった。それをレイアが追いかける。