降り立った地へと
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「好き好んで魔物を飼うなんて、ア・ジュールは変わってるよな」
私たちの実力を見るために空中闘技場へと来いと言われそこへと向かう道中、アルヴィンは信じられないと言った風に肩を竦める。
「オールドラントでは教団の騎士団に魔物を主力とした部隊があるぞ」
魔物使いの少女が団長でな。と教えてやれば全員が驚く。軍で魔物を使役してると言えば驚いても仕方あるまい。
「か、変わってるね」
「まあ、な」
これに関しては言って後悔。我ながらリアクションに困ることを言ってしまったな。いかんいかん。
「でも飼うなら、やっぱりカワイイのがいいよね。イヌとか」
「おや、ジュードさんはイヌ派ですか。私もですよ」
「私も断然イヌ派ー!追いかけっことかできるし」
おや、ここでイヌ派の固まりが出来たな。イヌ派は結構いるのだな。
「おいおい、、イヌよりネコだろー。イヌ派とか軟弱すぎ」
「今はネコ派の方が軟弱でしょう。自らもネコミミや尻尾を装着したり、語尾に『にゃん』をつけてしゃべったり…」
……このような話で盛り上がれるのだな、ふむ。
「それどこの文化?真のネコ派はネコの気まぐれさにしびれるんだよ。お姫様もネコ派がいいよなー?」
「わたしは…ピンクのブウサギが飼いたいです」
「ティポ派じゃないのー?!」
エリーゼはブウサギと来たか。人の好みとは様々なものだな。
「フィリンは?」
「私は生態観測が出来ればなんでもよい。ああ、そう言えばマルクトの皇帝はブウサギを飼っていると聞いたな。あと、聖獣を飼っている少年もいたな」
私室がブウサギだらけだと聞いていたが、見てみたいものだったな。聖獣チーグルの方は何度も見たことはあるが。
「ブウサギを飼ってるですか!?」
「しかも皇帝かよ……」
「それより……フィリンの答えの方が僕は気になるよ」
エリーゼは食いついたようだな。ジュードのほうは私の視点が気になったようだが。
「ペットとして飼う余裕はないからな。観察目的なら飼えなくもない」
飼うなら部屋で飼えるものだな。散歩とか連れて行っている暇もないし。すると……小動物か昆虫類になってしまうな。
「それより。いつまでこの論議をするのだ?」
これから腕試しをしに行くのだろう?と呆れた風に言えば、ようやく思い出しようで皆、顔を見合わせた。
「……いこっか?」
「……そうだね」
やれやれ、まるで遠足だな。と思いつつ、話の言い出しっぺを横目で見る。この飄々とした態度に一々苛立っていてはキリがないのだが、空気は読んでもらいたいものだな。
「なかなか面白いところだな」
何処に闘技場があるのかと思えばわざわざ渡し舟でなければ行けぬ場所であった。階段を登った先にある闘技場は大きく、観客席も広かった。
「そろそろ始めようと思うが、いいか?」
彼の言葉に私たちは頷く。それを見てユルゲンスは舞台から離れ、仲間のいる観客席へと移動する。彼が合図をすれば、数匹の魔物が舞台へと入ってくる。
「こやつらを仕留めればいいのだな?」
「殺しちゃ駄目だよ?」
それはわかっておる。鎚を出しながらジュードに頷く。気を失わせればよいのだろう。今回私は譜術は使わぬ方がよいな。気絶させるよう手加減ができん……というか苦手だ。
「では行くがいい、アルヴィン」
「おう!……って俺かよ!?」
冗談だ、と笑ってから取り出した鎚を巨大化させる。後方でざわついたようだがこれも気にしていても仕方ない。聞かれたときに適当に答えればいいし、別に隠し立てする必要もない。
「ミラ!」
「ああっ!」
『絶風刃!』
まずジュードとミラが攻撃を仕掛ける。風の刃が魔物を襲う。更に足止めするかのようにエリーゼとローエンが精霊術を放つ。
「フィリン!わたしたちもいくよ!」
「ふむ!」
『爆牙弾っ!』
リリアルオーブをもらってから色々試してみた共鳴技。実戦で使うのは今回が初めてだったが、上手く行ったようで私の鎚とレイアの棍が大打撃となって魔物を襲う。
「んじゃ、おいしいところはもらっちまうぜ!閃空衝裂破っ!」
本当にいいところを持って行った。アルヴィンの一撃で魔物達はそのまま倒れ込む。動きはしないが意識がないだけなのを確認して各々安堵の息を吐き、観客席の方を見る。未だ驚きが隠せないのか、目を見開いて立ち上がってこちらを見ていた。