旅は道連れ
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「ここにおられましたかーっ!!」
何時でも何処でも唐突に現れる男だ。ついでに空気も読まない。そんな彼、イバルの目にはミラしか写っていないようだがな。
「…ジュード、あれ誰なの?」
「イバルっていって、ミラの巫子なんだ」
派手な登場にさすがのレイアも目を丸くする。すでに慣れているジュードやアルヴィンは半目で笑っていた。
「ミラ様!村へとお戻りください。みなが心配して」
「私はイル・ファンへ向かわねばならん。今は戻る気はない」
村へと戻るようにと言うイバルにミラは首を横に振るが、イバルは引かぬ気がないようで、俺がお供を!と自ら買って出るが必要ないと一蹴される。
「しかしこんなやつらなど……」
キッと私らを睨みつける。睨まれたところで痛くも痒くもないが、ここまでうるさいと面倒だな。
「お前には大事な命を与えたはずだ。なぜここにいる!」
「む、村の守りは忘れておりませんっ」
逆にミラに睨まれるとイバルは飛び上がりそのまま土下座する。命令を放棄して怒られるとは思わなかったか?ふむ、こやつに関してはよくわからん。
「お預かりしたものも誰も知らぬ場所に隠し、無事です!し、しかしこの度は、このようなものが届いたのですっ!」
懐からスッと差し出された手紙。それをミラが受け取り読み上げる。『マクスウェルが危機。助けが必要、急がれたし』と。チラリとミラを見るが彼女は表情を変えない。
「突然、俺のもとにこれだけが届けられ、ようやくミラ様を見つけ出したのです」
「誰だろう、こんなことしたの……」
それにアルヴィンが、さてな…と肩を竦める。私はともかく、ミラ以外の人間はこれで誤魔化されてしまうのだろう。ディラックから鍵の在処を聞きしたのだ。持ってこさせるのが狙いだったろうが、実際は彼は隠したままで持ってこなかった。まあ、そこまで馬鹿ではなかったという事だ。
「どちらにせよ、間違いだ。危機など訪れ……!逃げろイバル!」
「は?」
イバルの背後からこちらへと猛スピードで近づいてくる魔物が一体。しかもイバル目掛けてやってくる。そのまま吹き飛ばされたイバルは放置し、私たちは魔物へと身構える。
「やれやれ。時間を食うつもりはないぞ?雷雲よ、我が刃となりて敵を貫け――サンダーブレード!」
即座に譜陣を展開させる。大きな角で私らのに突進してくる魔物に向かって強力な譜術を発動させる。ここまで大きいのは今まで使ったことがないからか全員が呆気に取られていた。
「あ、あぶねぇな!」
「味方識別(マーキング)をしてあるんだ。当たりはせぬよ」
攻撃をしながら文句を言うアルヴィン。私の譜術が直撃をしたにも関わらず、大したダメージはないようだ。ふむ、主と言うだけはあるようだな。
「レイア、アレやるよ!」
「わかった!」
『六散華!!』
二人の息のあったコンビネーションで打撃と棍撃が交互に打たれる。ローエンとエリーゼが後方から精霊術で応戦し襲ってきた魔物を殲滅する。
「地霊小節に入って地場になったら、おとなしくなるんじゃなかったのか?」
予想以上にしぶとかったラコルムの主を倒し、武器を仕舞いながらアルヴィンがふぅ、と息を吐く。ローエンもそんなはずではといった風に考え込むが、まさかと目を見開く。
「四大様がお姿を消したせいで、霊勢がほとんど変化しなくなってるんだっ!」
ローエンの代わりに答えたのはイバル。ただの馬鹿ではなかったか。
「それじゃあ、ファイザバード沼野を越えてイル・ファンにいくのは……」
「ファイザバード沼野を越える?くくくっ……はーっはっはっ!これは笑える。こうなってはワイバーンでもない限り、イル・ファンへは行けないな。だが巫子である俺はミラ様のお役に立てるぞぉ!」
行く手を阻まれたかと思った矢先に少々不快な声。しかしこのままだとイル・ファンへは行けない。
「イバル。優秀なキミなら私たちがイル・ファンへ行ける方法を知ってるだろう?」
優秀、と言うところだけを強調してやれば彼は、ぱあぁっという風な効果音を付けたくなるくらい一気に表情を変えた。頬を少し赤らめているのは少々気持ち悪いが放っておこう。
「そこまで言うなら教えてやらんでもない。シャン・ドゥに魔物を操る部族が、ワイバーンを数頭管理していると聞く」
「行き先は決まったみたいだな」
イバルの他にワイバーンを使役している者がいるならそこに行かない手はない。さっきの言葉がよほど嬉しかったのか、満面の笑みを浮かべるイバル。ふむ、彼は単純だと脳内に明記しておこう。