父と子
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「あ、あったあった!ここが採掘場だよ」
ジュードとレイアの三人で魔物を退けながらフェルガナ鉱山へとやってきた。案の定、私が何もない空間から鎚を取り出しサイズを変えるとレイアは驚き、どうして!?どうして!?と訪ねてきた。とりあえず説明したが理解しきれなかったのか、ふーんと素っ気ない返事だけされた。
「妙だな。作業途中で打ち捨てられているように見える」
鉱山の中へと入ると、鶴嘴やら一輪車やら工具が無造作に置かれていた。ただ昨日今日置かれたものではないというのはよくわかる。しかし、ぱっと見たところでは、精霊の化石らしきものは見あたらない。レイアに何故、こんな状態なのか聞いたが知らないらしく首を振る。事故か何かで閉山したのかと憶測を口にする。
「ふむ。これはかなりの力仕事になりそうだな」
「すぐに見つかるといいけど」
三人で探すのだからかなり大変な作業になるのは間違いないだろう。入り口付近だけでこの広さだ。奥まで行かねばならなかったら見つかった頃にはヘトヘトだろうな。
「でもね、やるしかないんだよ、うん!」
「気合い入ってるね……」
鶴嘴を地面から手に取り、元気よく声を上げるレイアにジュードが苦笑いを浮かべる。当のレイアはだって、こう燃えてくるものがあるじゃない!と楽しそうだ。
「誰が早く見つけれるか勝負だよね、もちろん!」
「はぁ……でも注意してね。レイアに何かあったら……」
勝負を挑む気が満々のレイアに溜息を吐き、ジュードが何か言い掛けるとレイアが怒鳴り返す。自分の心配よりミラの心配をしろと。少々気になる物言いだな。
「何かあったのか?」
「……レイア。ちょっと体弱いんだ。なのにすぐに無理するから心配で」
うむ。出会ったときや再会の時の様子から見てそんな風には見えなかったが。今もその様子は見せず、一人先に化石を探して掘り始めている。
「私たちもやるか」
「そうだね」
その辺に放置されている鶴嘴を手にして、化石がありそうな場所を探し歩く。だが、化石どころか鉱石すらある雰囲気には見えないが。もう少し奥を探してみるか。ジュードやレイアが掘っているところより奥の方へと行けば、そこは日の光の届かない暗いところだった。ランタンに火を灯し、辺りを見回す。
「この辺りを掘ってみるか」
ともかく何か出てこないかと鶴嘴を頭上に掲げ振り下ろす。普段、戦闘で鎚を振り下ろしている私には造作もない行為。ガチンと甲高い音が鉱山内に鳴り響く。とはいえ簡単に見つかるような代物ではないらしく、いくつか掘り続けたが見つからない。腕も疲れてきたな、と思い始めた頃。先ほどとは違う音を立てた箇所があった。何があるのかと何度も鶴嘴を振るえば、ガラガラと音を立ててそこは崩れた。
「ジュード。道だ」
掘り当てたのは紛れもなく奥へと進む道だった。こんな所に道が隠されていたとは。
「奥から風が吹いてるし、行き止まりじゃないみたい。だから僕が行ってくるから、みんなはここで…」
「ジュードには負けないよ!行こう」
一人で様子を見に行こうとしたジュードの脇をすり抜けレイアが先へと進んでしまった。声を掛けても聞いていないらしく立ち止まらない。
「中に何があるのかはわからない以上、皆で行った方がいいだろう」
「……もう、レイアったら」
渋々と中へと入る私とジュード。先を行ったレイアを追いつつも、辺りを注意して進む。
「この道は人工的に作られたものだな」
「え、どういうこと?」
道自体、鉱山の中と言うだけなら十分に舗装されている。たぶん入り口は崩落か何かで閉ざされてしまった。そのせいで閉山したのではないかと言うとジュードはなるほどと納得した。前を歩くレイアが肩で息しているのを見てジュードが声を掛ける。が、彼女から返ってきたのは、
「ね、ねぇ、ところで精霊の化石って何なの?」
「マナを失った精霊がこちらの世界に定着し、石になったものだ」
ジュードを遮るかのような質問。それに答えたのはミラ。彼女の発した答えにジュードとレイアはどう意味だと言わんばかりの理解しきれていない表情を浮かべる。
「マナを失って、言ってみれば死んじゃうみたいな感じでしょ?でも死ぬなんてあまり聞かないよ。都会じゃよくあるの?」
「さあ……ないと思うけど」
レイアの問いにジュードは首を傾げる。うーん、と唸るレイアが精霊も昔はたくさん死んじゃったってことかな、と口にするとミラが大半は私が生まれる前のことだと言った。ミラがマクスウェルと知らないレイアが目をパチクリさせる。話は後でとまずは先を急ぐことにした。