ざわつく心
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「三散華!ミラ!」
「ああ!ロックトライ――玄武散!」
先手必勝と行ったジュードとミラの共鳴技。それが決まり、動きを止めたソレにアルヴィンのが剣を両手で構える。
「ヴァリアブルフラッシュ!」
アルヴィンの技で体を弾かれたそれにローエンの精霊術とエリーゼのティポを使った攻撃が容赦なく連続ヒットする。皆、手を休めることなく攻撃を続ける。
「やれやれ私ものんびりしてられんな」
小さく肩を竦めて、ゆっくりと戦闘に加わる。コンタミネーションで空間から鎚を取り出す。彼らだけでも十分だろうが些かむしゃくしゃする。鬱憤を晴らすために申し訳ないが私も戦闘に加わらせてもらうとしよう。
「猛打撃っ!」
体を捻り回転させその力を利用して鎚を振る。回転が加わり威力の増した鎚はソレの腹部と思われるところにヒットする。
「これで終わりだと思うなよ?」
攻撃がソレに当たった衝撃を利用して後方へと飛び退く。ここに来る前に全員に味方識別(マーキング)は施した。今度は周りを気にせず術を使ってもいいと言うことだ。
「荒れ狂流れよ――スプラッシュ!」
着地とともに譜陣を展開させ譜術を放つ。ジャオとやらと戦った時もそれなりに本気だったが、今回はもしもを気にする必要はない。そこでソレの動きは止まった。そしてミラが止めをさすために剣を振り上げる。
「ダメだよ!」
剣を振り下ろそうとしたミラをジュードとが止める。何のつもりだと怒るミラにジュードはよく、感じてみてよ。とソレを見る。
「……なに?!」
ソレは光り輝き放つ。光がキラキラと舞い散る。
「微精霊だよ」
「おお、これは……」
光は微精霊だという。音素とは違うソレは綺麗だった。微精霊たちはゆっくり消えていき、辺りは先ほどと変わらぬ姿へと戻る。
「……ありがとう、ジュード。我を忘れ、危うく微精霊を滅するところだった」
「あ……うん……」
ミラのような者が我を忘れる。それほどこの人体実験を止めたかったということか。彼らが何を思ってそれを止めたいのかはまだよくわからない。あとでアルヴィンにでも説明させるか。知らぬと言うのは気持ちが悪い。
「街へ戻りましょう」
いつまでもここにいる必要はない。目的は果たした。まあ、時間があるならばここを調べたいが、今はその場合ではない。後に調べるとしよう。
「フィリン」
マナを吸い取るいう装置を見つめ、皆と共に街へ戻るべく踵を返すとそこにクレインが立っていた。彼もマナを吸い取られまだ回復していないからか顔色は悪いまま。
「そんな顔をしないで下さい」
「どんな顔はともかく、そうさせたのはキミだよ」
自分では無表情のつもりだが、余程呆れた顔をしていたのかもしれぬ。呆れもする。私の忠告を聞かぬからだ、とわざとらしく息を吐けば、すみませんと申し訳なさそうな表情を浮かべる。
「戻ったらしっかり休め。あとはそれからだ」
彼のことだ。すぐにでもイル・ファンへと行きナハティガルへ問いただそうとするだろう。そうすれば今回のように捕まって、今度こそ……となりかねない。
「……わかってるよ」
「何ちんたらしてんだ」
私に読まれていたことが悔しかったのか今度は顔を歪めた。懲りないな…と言う前にゴツっと何かが頭に当たる。それが彼の拳だと気付くまで数秒。
「仕返しは十倍でいいかい?そうだな、以前し損なった音素学についての抗議を徹夜でやろうか」
「……マジでわるかった」
小突かれた頭をさすり、ジロリと睨みつける。さすれば冷や汗を掻きながら謝罪をする。
「ミラ様たち行っちまうぜ」
「クレイン。さっきも言ったようにあとは街に戻ってからだ」
念を押すように言えば、わかりましたと素直に頷く。彼を助けたというのに正直、まだ不安感は拭えない。何かまだあるというのか。
「フィリン?」
「……ああ、今行く」
用心は越したことはない。予定も変更せねばならぬな。落ち着くまで、不安が消えるまで出発は延期しよう。ジュードたちが追っているもの、それが全て関係しているのだろうか。
「……何が起ころうとしている?」
この呟きは誰にも届かない。ただ風に流れて消えるのみ。より強くなるコレは何なのだろうか。
((…何か釈然としねぇ))
((迷惑ばかり掛けてしまう))
((私は一体何を恐れているのだろうか?))