空からの再会
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「……なぜだ、娘っ子。その者たちといても、安息はないぞ?」
「……友達って言ってくれたもん!」
「もう寂しいのはイヤだよ!」
追われる彼らといることに幸せはない。そう諭そうとするが、エリーゼもティポも首を振る。
「あれを食らっても大したダメージはないか……まあそれはともかく。幸せの形は自分で決める。ぬしが決めることではない」
さて、どうするか。街への道は彼の背中。彼をどうにかせねばカラハ・シャールへはいけない。考えを巡らせていると、ジュードがアルヴィンに目線を配らせる。辺りを伺うフリをして彼らの意図を見る。確かあれはケムリダケ、と言ったか?植物辞典に載っていたな。そしてアルヴィンが銃を構える。
「もうやめておけ」
お前たちでは無理だ。そう言わんばかりに首を振る。しかしアルヴィンは構えていた銃を向けていた先をジャオからその側の木へと変える。放たれた数発の銃弾は木に当たり崩れ地面へと落ちる。
「これは…っ!」
「今だ!」
木は地面に生えていたケムリダケの上へと落ちる。ジャオだけではなく私たちをも煙は覆う。それが狙いだったようだ。
「……ここまでくれば平気か?」
樹界の出口付近まで一気に走り抜ける。幼いエリーゼにはキツかったのか、地面に手を突いて大きく肩で息をする。
「大丈夫だろう。その気があれば通り向けられる前に止めている」
あれだけの力のある人物だ。ケムリダケくらいでは止まらない。エリーゼへの罪の意識なのか、或いは。
「ところでフィリン」
「なんだい?」
息を整え終えたミラが私の右手に持つ鎚を指さす。どうやらアルヴィン以外はこれが気になるようだ。ジュードもエリーゼも見ている。
「そんなもの何処に持っていた?」
「持ってはいないさ。隠していただけだ」
そんな答えを望んではいないだろうとわかっているが、さてどう説明するか。世界の違いというのはどうも面倒なものなのだな。
「カラハ・シャールに着いたら説明するさ。ジャオが追ってこなくとも、魔物はウロウロしている」
安全な場所でゆっくり話した方がよいのではないか?と提案すれば、ミラたちは顔を見合わせた。この樹界を抜けてきたのなら体もだいぶ疲れているはずだろう。この提案に反対する者はいなかった。
「アルヴィンは知っていたの?」
「まあ、おたくらが知りたいと思ってることは知ってるぜ」
「私の依頼の報酬がそれだしな」
根掘り葉掘り訪ねられては面倒だったと肩を竦めてやる。当然わざとだが。
「これや術に関しても出来る範囲の説明はする。嘘は吐かぬよ」
吐いても私に何のメリットはない。特をしないのに吐く意味が分からない。チラリと彼を見ればすでにしれっとした態度を取っていた。自分に疚しいことがあるとわかっているのか。そこに関してはどうでもよいが。
「にしてもフィリンって戦えたんだね」
「戦えぬとは言っておらぬよ」
「戦えねえ奴が好き好んでこんな樹界に入るかよ」
武器を手に持っていなかったからか、やっぱりさっきはびっくりしたよと苦笑いを浮かべる。それを言うならエリーゼもと思うところだが、共にいたなら戦えことくらいは知ってたのか。
「自分の身を守るくらいには戦えるよ」
「さっきはすごかったねー!」
「はい!あんな術見たことないです!」
そこまで騒がれるようなことはしておらぬのだが、まあよしとするか。返事の代わりの彼女の頭を撫でてやる。
「もう街は目の前だ」
樹界を出て少し進めば街の外壁が見えてくる。ひとまずは安心てよいだろうと、手に持ったままだった鎚を消す。あれだけのものが今度は消えるものだからまた驚きを見せる。これの説明をするならばオールドラントのことも説明せねばならぬな。面倒だがそれも構わんだろう。
「やっとふかふかのベッドに寝れるぜ」
「だいぶ汚れちゃったし、お風呂も入りたいね」
「それより私は何か食べたいぞ」
皆も安堵していると、ミラがぐぅ~と大きな音を立てる。腹の音だったのか。
「街に着いたら宿を取ってお風呂入ってご飯を食べて休もうね」
「あとフィリン。忘れるなよ」
「安心しろ。約束は違えぬ」
ふむ、私も宿を取った方がよいのかな?忘れ物を取りに行かねばならぬなら屋敷に行くことになるのだが。まあ、それもその時決めればよいか。
「案外早かったな」
「別に今後ついてくる訳じゃないだろ?」
さて、それはどうかな?とだけ呟いて、少し先を歩き出した。
((……本当に興味が尽きないな))
((……お、悪寒が))