空からの再会
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「こいつら……」
「今度はやる気になったようだな」
アルヴィンらと共にカラハ・シャールへ向かうべく樹界を進むと狼のような魔物が私たちを囲んでいた。機敏さを生かしてか気配なく近づいてきたようだ。その魔物らに覚えがあるのかジュードは身構える。ティポに至っては、かかってこーい!と挑発までしていた。
「あんたは…」
「おっきいおじさん…!」
アルヴィンより大きい身の丈。長い髭を揺らし、黄色い服を身に纏った大男が奥から姿を現す。その威圧感は魔物の比ではない。抑えているのだろうが、かなりの力を持つ者というのは間違いない。
「おうおう。よく知らせてくれたわ」
「イバルの他に、魔物と対話できるものがいるとはな」
魔物の一頭の頭を撫でてこちらを見る。それにミラが関心を浮かべる。どの世界にも魔物と会話が出来る者がいると言うことか。オールドラントにも確か神託の盾(オラクル)騎士団にいるとは聞いているが。にしてもジュードたちの警戒する様子からいって敵対してる関係なのは明白だな。
「あなたは、ジャオさんですよね」
対峙する形になっている大男に声を掛けるジュード。一方、ジャオと呼ばれた大男は、お前たちに名乗っておらんはずだがのう、と首を傾げる。ふむ、イマイチ関係性が見えない……いや。エリーゼの怯えたような雰囲気からいってこの子と関係しているのか。
「ハ・ミルの人たちにな。んで?どんなご用で?」
「知れたこと。娘っ子。村に戻ろう」
ジャオはエリーゼを見て彼女へと手を差し出す。目を離している間に村から出ていて心配したと、少し目尻を下げる。が、当のエリーゼはティポと一緒にジュードの背へと隠れてしまう。
「ぬう…」
「随分嫌われてるようだな」
「あなたがエリーゼを放っておいて、どうなったと思ってるんですか」
ジュードの怒気の籠もった言葉にジャオは表情を強ばらせた。そして視線を一度外す。この様子からだとどこかの村にエリーゼはいた。状態はわからないが、あまりいい雰囲気ではなかったということか。放っておいてどうなったか……その場において置いたらもっと酷いことになってたかもしれぬということなのか。
「お前は、エリーゼとどういう関係なんだ?」
「その子が以前いた場所を知っておる。彼女が育った場所だ」
「なら、彼女を故郷に連れて行ってくれるんですか!」
連続した問いにジャオは居場所を知っていたとしか答えない。後に質問に対しては背を向けて言葉を発しない。その背をジュードは睨みつける。
「……また、ハ・ミル……に閉じこめるつもり?」
「お前たちには関係ないわい!さぁ、その子を渡してもらおう!」
向こうも苛立ったのか、声を荒げ、無理矢理にでもエリーゼを連れて行こうとしていた。このままでは埒が明かぬと察したのか各々が武器を手に取った。ジャオも、仕方あるまい。と武器を身構える。
「エリーゼ、わしと一緒に来い!」
「やだー!」
「嫌です!」
互いに間合いを取りながら、ジャオはエリーゼの説得を続ける。けど二人は即答で拒否する。
「聞き分けのない子だ!」
「お前こそ聞き分けろ!」
ミラがジャオへと攻撃を仕掛けようとすれば、周りを囲っていた魔物が割って入ってくる。
「フィリンは下がってて!」
「エリーゼ!言うことを聞かぬと力なき者が痛い目を見るぞ!」
そう言ってジャオは私へと向き直り武器を振りかざす。ジュードたちが駆け寄ろうとするが間に合う間合いではない。ただアルヴィンだけが小さく笑った。
「残念だったな。私は差して大人しくはないぞ?」
手にはジャオに比べたら小さい鎚。それをいつ出したのかわからないジャオやジュードたちが一瞬固まる。その隙をついて鎚を振り、ジャオを吹き飛ばす。
「アルヴィン!ジュードらを守れ!」
私の意図したことを瞬時を察したか、アルヴィンは私を助けるために固まったジュードたちを背に隠すように立つ。
「すまぬな。これでも力は持ってるのだよ」
未だに呆然としているジャオ。すぐさま譜陣を展開させる。精霊を使わぬこの力に真っ先に反応したのはミラだった。
「ぬしには退場してもらおうか。狂乱せし地霊の宴よ――ロックブレイク!」
私の放った譜術がジャオへとヒットする。見たこともない力に意表を突かれたからか。出し惜しみをするべきではない。そう察し、全力で術を放ったがどうか。多勢に無勢にも関わらず食い止められるだけの者だ。が、致命傷は与えたはずだ。