60話 未来への道標
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「――トゥエ レィ ズェ クロア リュオ トゥエ ズェ クロア リュオ ズェ トゥエ リュオ」
最後尾に立つティアが詠う。透き通るような歌声がこの場に響く。戦闘中でなければその歌にずっと耳を傾けていたくなる。
「……ぐぅ……っ……うおおおぉ―――っ!!」
ティアの歌に顔を歪める。が、目覚めようとするローレライを押さえるように声を上げて、それを阻止するヴァン。
「……っ!!」
「……譜歌か。確かにその旋律はローレライを目覚めさせる。だがおまえは、譜歌に込められた本当の願いを知らない。私には……効かぬぞ」
小さく笑みを浮かべるヴァン。ティアの歌ではローレライを完全に目覚めさせる前に自分が押さえると言わんばかりに。たげどティアは首を横に振った後、真っ直ぐヴァンを見つめる。
「いいえ……兄さん……私にはわかるの。ユリアがこの譜歌に込めた想いが、わかるような気がするのよ」
ユリアが詠った大譜歌。その想いをわかるのはティアとヴァンだけ。私たちではその意味も象徴もけして理解できない。
「……それが真実なら見事に詠いきってみせよ、メシュティアリカ!」
吼えるヴァン。詠ってそれを証明しろ、その言葉にティアは目を閉じる。
「――トゥエ レィ ズェ クロア リュオ トゥエ ズェ…」
ティアが詠い出すと同時にルークがティアの前へと立ち、彼女を援護するようにヴァンへと連続攻撃を放つ。
「……喰らえっ!!」
「……遅いっ!」
ルークの攻撃はヴァンに受け止められ、反撃される。その攻撃でルークは一気にティアの元まで吹き飛ばされ、彼女の歌は再び止められてしまう。
「……忘れたか。おまえに剣を教えたのは、私だ」
「ローレライを解放しろ!」
それでもとルークが立ち構えると、ヴァンの体から光が放たれる。虚を突かれたように動き止めたヴァンへとルークが再び攻撃を仕掛ける。そしてアッシュもまたほぼ同時に一撃を入れる。
「……やはり……強くなったな……」
二人の攻撃を受け止めたヴァンの籠手は壊れ落ちる。その下から現れたのは、ローレライと融合された人のものではない腕。
「私が……ここまで追いつめられるとは……結局、この忌まわしい力を解放せねばならぬようだな」
自嘲にも似た笑みを浮かべるヴァン。本当の戦いはこれからかもしれない。