60話 未来への道標
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「そうだな。しかし手段など選んではいられぬのだ。星の記憶という絶対的な道を破壊するためのな」
以前言っていた、劇的な薬がレプリカ世界。そこまでしなくては世界は変わらない。
「あなたのような賢明な方が不思議なものですね。人も星もいずれは消滅する。星の記憶があろうとなかろうと、それだけは決まっているのです。あなたの言う絶対的な道が存在したとして、それでも、消滅に至る道は人に選択権が与えられているのだと思いますよ」
眼鏡を外し、指で回しながら話すジェイド。回していた眼鏡をグッと握り、その赤い瞳でヴァンを睨みつける。
「あなたらしい考え方だ。死霊使い殿。そう、いずれ全ての命は消滅する。早いか遅いかの差だ。だが星の記憶は、それを早くに設定している。私はあなたのように早くに滅びることを良しとはできない」
これは価値観の差なのかもしれない。それを受け入れられるかどうかの問題。この二人にそれが出来るとは思えない。
「でも総長は結局被験者を星の記憶以上に早く滅ぼそうとしています。総長は預言を憎みすぎて誰よりも預言に縛られているんです」
アニスが言うように預言を憎むことによって預言に囚われすぎ、こんな無謀とも言える手段に出た。
「フ……或いはそうかもしれぬな。私も、いや私もおまえたちも、預言という得体の知れない未来に縛られている」
誰もが預言に縛られている。それに否定は出来ないかもしれない。ただ行程も出来ない。
「俺たちは未来が選べると信じている」
「私は未来が定められていると知っている」
二つの視線がぶつかる。
「未来は、自分で創るもの。選ばされていると思うんじゃなくて、選んでいると思うのが大事なんだよ。それがたとえ星の記憶に定められたものだとしても、それでも自分が選んだものと信じることが大事なの。世界中の人たちは星の記憶なんて知ったことじゃないんだから」
星の記憶云々を言っているのは私たちだけ。今、生きとし生ける人たちは、ただ毎日を必死に生きている。この預言を詠まれなくなった世界でも。
「やはり…互いに相容れぬようだな。剣を抜け。まとめて相手をしてやろう」
「ヴァン……覚悟!」
ここまで来たらもう言葉ではどうにもならない。あとは互いの信念をぶつけるだけ。私たちは武器を手にして構えた。