60話 未来への道標
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「……フ……フフ。なるほど小賢しい知恵をつけたな」
ルークの成長には一番驚いたのはヴァンかもしれない。ついこの間まであれだけ我が儘言い放題だったのだから。
「その知恵を与えるきっかけを作ってのはあんただ。こいつはあんたに裏切られた経験から成長を遂げた。被験者もレプリカもない程な」
「……アッシュ」
まさかアッシュから認めてもらえる言葉がもらえるとは思わなかったのか、嬉しそうな顔をするルーク。アッシュにも少しばかり照れが見える。
「おまえにそこまで言わせるとはな」
ヴァンもアッシュがあの様なことを言うとは思っても見なかったのだろう。
「兄さん!人は変われるわ。ルークと同じように。もう一度考え直して。兄さんが言うように、星の記憶は存在するかもしれない。でもそれは本当に絶対なものなの?
ルークがここにいるのは、星の記憶に定められたからじゃない。彼が選んだからだわ。星の記憶は未来の選択肢の一つ。それを選ぶのは星じゃない。第七音素でもない。人よ」
ティアの必死な言葉。覚悟も決心もした。でもやはりたった一人の兄妹だから。言葉が伝わるなら、伝えたいのだろう。
「それもまた絶対ではない。選んでいるのではなく選ばされているのかもしれぬぞ」
ここで退くなら最初からこんな真似しないだろう。
「ならおまえも、星の記憶を消すのを『選ばされている』のかもしれないぜ?星の記憶を消すことが、おまえの意志だけで決定されたというなら、そのことこそが星の記憶が絶対ではない証さ」
何を言っても『選ばされている』と言うのなら、今この瞬間も、『選ばされている』のではないか。
「そこは詭弁だな。私の言う星の記憶はユリアの預言が基本だ。そこには人の消滅は詠まれていても、星の記憶の消滅は詠まれていない」
頑なに意見を変えることはない。ある意味彼も信念を持って、ここにいるのだ。全ては預言と星の記憶のせいにして。
「だから被験者で人の消滅を現実させて、レプリカ世界を創る。それはホドを見殺しにした人たちと変わりませんわ。だからアッシュもあなたを否定したのです。あなたもホドの消滅を悔やみ、それを招いた人間を憎んでいたのではないのですか?
側にいるアッシュに視線を向けるナタリア。そして真っ直ぐに見据えて、ヴァンへと言葉を向ける。