60話 未来への道標
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「たいしたものだな。本来ならここに辿り着いているのはアッシュだけだった」
階段登り切った先は、青く澄み渡った空が広がっていた。そして、中央辺りに剣を床に突き刺し、正座をしていたヴァン。閉じていた目を開け、私たちが近づくと、彼はゆっくりと立ち上がった。
「……残念ながら、俺も一緒です」
アッシュだけ、その言葉にルークは眉を寄せる。まるでルークにアッシュは越えられないとも取れなくもない言葉。
「第二超振動か……見事だ。おまえは被験者に勝ると劣らない、真の人間となったわけだ。おまえは全ての屍を踏み越えてきた。
さあ、二人とも私と共に来い。ルーク、アッシュ。星の記憶を消滅させ、ユリアが残した消滅預言を覆すのだ」
私たちがここに来た理由はわかっているはず。それでも手を差し伸べるのか。二人とも前に拒絶しているというのに、どこまで自信があるのだろうか。
「お断りします」
「俺もだ」
二人は考えことなく答える。それは予想外だったのか、ヴァンは片眉をピクリと上げた。
「ほう、何故だ」
ルークもアッシュも自分を慕っていることを知っている。それこそ依存に近いくらい。だけど二人は真っ直ぐとヴァンを見て拒絶した。
「やっとわかったんです。俺は何をしたかったのか。俺はあなたに認めて欲しかった。レプリカとしてではなく一人の人間として」
「そうだ。そしてお前は人間になった」
ヴァンはわかっていない。ルークの思いが。自分に役に立つレプリカという駒を人間と呼んであげてるだけ。
「……でもそれじゃ駄目なんだ。あなたは言いましたね。『何かの為に生まれなければ生きられないのか?』と。誰かの為に生きてきている訳じゃない。いや、生きることに意味なんてないんだ。
死を予感して、俺は生きたいと思った。そのことを俺は知っている。ただそれだけでよかったんだ。だから俺にはもう――あなたは必要はない。俺はここにいる。こうして生きているんだ。あなたが俺を認めようと認めまいと」
生きる意味。それを問われたら難しくて私には答えられない。特に昔の私だったら、生まれたから生きてるとか言いそう。ここに生きている。誰がなんて言おうと。それだけで答えとしては十分だった。