「甘いよ」



アッシュまで加わっての戦闘だというのに、まだ致命的なダメージは与えられていない。さすがは言うべきなのか、それともシンクの執念なのか。彼の預言への星の記憶への自分の生への憎悪は私たちの想像以上なのかもしれない。



「これならどうだ！魔神月詠華！」
「それだけじゃないわ！聖なる槍よ。敵を貫け――ホーリーランス！」



ガイの攻撃が終わると同時にティアの譜術が発動する。思わぬ連続攻撃にシンクは呻き、膝をつく。しかしこれで終わりではないだろう。



「……同じ死ぬなら、おまえたちも道連れだ！アカシック・トーメント！」



立ち上がったシンクはオーバーリミッツし秘奥義を展開する。予感はしていたが思ったより早い動作に避ける時間はなかった。



「うわぁぁぁっ！」
「きゃぁぁぁっ！」



後退するには間に合わず私たちはダメージを受けてしまう。威力自体は強力と言うものではないが範囲が広すぎる。普通の攻撃を避ける動きは回避は出来なかった。



「いけない！命を照らす光よ。ここに来たれ！――ハートレスサークル！」



眩い光が私たちを照らす。傷ついた体はティアの回復譜術によって癒されていく。



「痛いじゃん、もう！仕返しだよ。斬影連旋撃！」
「こっちも忘れるなよ！虚空連衝刃！」
「私も忘れてもらっては困りますね。断罪の剣よ。七光りの輝きをもちて降り注げ！プリズムソード！」



アニス、ガイ、ジェイドの連続攻撃が繰り出される。傷を負い疲労も溜まっているシンクは全てを避けきれるわけもなく、一歩二歩と後退する。けど負けられないと意地があるのか膝はつかなかった。



「これでくたばれ！砕け散れ。絞牙鳴衝斬！」



肩で息をするシンクへの止めを刺しに行くアッシュ。これは避けることは出来ずシンクの体は地面へと倒れ込んだ。