58話 この時こそが私の願い
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「……ルーチェとのことはわからない。でも、ローレライは兄さんの意志に賛同していない。だから兄さんの中で眠っているのよ」
ローレライがヴァンに力を貸さない理由。ユリアの意志に賛同したものと思ってないから。
「そうか……譜歌がローレライとユリアの信頼の証だとすれば。ローレライは譜歌の旋律で目覚めるかもしれません」
「ヴァンは力ずくでローレライを制御していた。もしもローレライが目覚めればヴァンといえども精神汚染を避けるためにローレライに集中する」
今のヴァンはティアがユリアの七番目の譜歌を理解したことを知らない。だから、
「隙が生まれますわね……ローレライの力も利用できなくなるかもしれません」
「ティアさん、詠うですの!」
「そうだよ、ティア。ローレライが譜歌に反応して目を覚ませば、鍵を使ってローレライを解放できるよ」
ヴァンを止める手だての。それを出来るのはティアだけ。
「でも私に出来るかしら……だって七番目の譜歌も、今、思い出したばかりで、旋律も感情も言葉もこれで正しいのか……」
確信を得られない。一番不安を抱えているのはティア。正しいのかもわからない歌を詠ってローレライが目覚めるのか。しかも実の兄相手に。
「今までの譜歌だって、ティアは正しく思い出していたじゃないか。大丈夫、詠えるよ」
不安に押しつぶされそうなティアに微笑むルーク。これまでの彼女を一番知ってるルークだから言える言葉かもしれない。もしくは自分もその選択に揺るがされたからか。ティアなら詠える。みんなもティアを見つめ頷く。
「……悩んでいる暇はないものね。やってみる」
迷いを降り拭うティア。進まぬ訳にいかない。そしてまた私たちは歩き出す。