58話 この時こそが私の願い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……そうか。七番目の譜歌は……」
視線を落とし目を閉じるティア。ルークが彼女の名を呼ぶと、ティアは目を開く。その表情は何かを懐かしむようにも見えた。
「……思い出したの。私が兄さんからはじめて譜歌を習った日のことを。兄さんは言っていたわ。ユリアは……預言を覆して欲しいと願っていた。ユリアは世界を愛していた……譜歌は世界を愛したユリアがローレライに捧げた契約だって……」
それを聞いてある考えが浮上した。ティアがこのセリフを言うことを知っていた。でも、世界を旅してきて当事者になると違った考えが浮かび上がる。
「ヴァン師匠はユリアの意志を、世界を創り替えることで叶えようとしてたってことか」
「アイツがこの預言を憎んでいるのも確かだ」
預言を覆しても星の記憶があるかぎり人の行く末は選ぶのではなく選ばされる。預言と預言を覆して欲しいと思うユリアの願いとは別物なのかもしれない。
「ユリアは……知ってたのかな」
「真咲?」
小さく息を吐き、私は言葉を発する。あくまで可能性なのだろうけど。
「ユリアは人々が預言に心酔してしまうことを。ルーチェがユリアにローレライに反旗を翻すことを……」
確信なんて何もない。でももしかしたらという淡い期待はある。
「ルーチェの力を封じて異世界へと飛ばして、私を召喚した。全てを知る私を」
何故それをルーチェに相談しなかったのか。彼女を犠牲にするようなことを選んだのか。ルーチェもわかっていたのか。後で知ったのか。それも教えてもらってないからわからない。
「あくまで私の勝手な想像だけど」
理由はわからない。そうしなければならなかったのかもしれない。別の手がなかったの思うこともある。けどここまで来てしまった以上は進むしかない。