58話 この時こそが私の願い
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「……師匠と戦うのは、嫌か?」
未だ懐かしそうにレプリカの屋敷を見るガイにルークが少し控えめに訊ねる。そんな彼を一瞬、キョトンとしたけどすぐに首を横に振った。
「違うよ。もう二度と、ここに戻れる日は来ないと思ってた。だから、不思議な気持ちなんだ」
「そうね。私も……初めて故郷に来たのよね」
まだ母親のお腹の中にいたティアにとっては初めて見る故郷の風景。たとえそれがレプリカの街でも。
「わたくし、フォミクリーという技術を嫌いにはなれませんわ。使い方次第で素晴らしいことができそうですもの」
「なんでもそうだと思いますよ。全ての道具は、素晴らしいこともくだらないことにも使える」
全ては使う者次第。しかしそれが簡単に出来ないのが人間という生き物かもしれない。
「預言だって同じだよな」
ボソリと言うルークにみんなの視線が彼に集まる。
「うん、そうだと思うよ。ユリア様は預言通りに世界が進めばいいなんて思ってなかったんじゃないかな」
本当の所はわからない。ルーチェの記憶でのユリアは預言を絶対と思っていた。ただそれが本心だったのかわからない。私は彼女と直接話したことはないからそこは判断できない。
「だけどユリアは破滅の預言が刻まれた第七譜石を隠したよな」
「人の死の預言の前では冷静ではいられない。だからかもしれないわ」
ガイが皆の頭に過ぎったであろう疑問を口にする。その疑問をティアが答えると、前にテオドーロから聞いた言葉を思い出す。人の死はわかっていても簡単には受け入れられない。もし、アッシュを助けられてなかったら、と思うとやるせない気持ちになる。
「ユリアは預言を覆して欲しかった……?」
そうかもしれない。ただ初めからそうではなかったと思う。いつからはわからない。でもユリアの思いはきちんと受け継がれている。