58話 この時こそが私の願い
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「うわー!」
エルドラントを歩いていると目の前で街が生成され広がっていく。それを見てアニスが大声を上げる。
「大地が……生まれようとしている」
「まだ生成途中のようですね」
レプリカの街が作られていく様子を眺める。何とも不思議な光景だ。人の手ではなく音素で作られているのだから。
「ホド……か。姉上のレプリカを見た時と同じだな。レプリカだってわかってても情が出ちまう」
この中ではガイが一番複雑な心境だろう。幼少期までとは言え、ホドで生まれ育ったのだから。それが人間のあたりまえの感情ですわ、とナタリア。
「ガイ。大丈夫か?」
「……ああ、大丈夫だよ。俺は迷わないさ。俺の故郷はもう俺の記憶の中にしかないんだ」
ここはレプリカの街であって本物のホドではない。そう言っても、ガイは目を細め、生成されていく街を見ていた。
「ここは……」
先を進み続け、街の中へと入る。するとガイが急に走り出し、とある建物へと近付く。
「どうした、ガイ」
「ここは……俺の……」
建物を眺めるガイにルークが声を掛ける。ガイはある一点を見つめている。そこは彼にとって消したくても消えない記憶の場所。
「やっぱりそうだ……俺の屋敷跡だ」
「えぇっ!?そうなの?」
少しばかり表情を歪めるガイ。ここがガイの屋敷があった場所だと聞き、みんな驚きを露わにする。
「ここはホドのレプリカだもの。おかしくはないけれど……」
「……そうか。ここは本当にホドなんだな」
自分の屋敷だったものを見て、懐かしそうにする。ホドであってホドではないこの場所はガイにとってはある種、因縁深いものなのかもしれない。もう故郷に戻ることはない私も少し考え深くなる。