58話 この時こそが私の願い
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「落ちた部屋にどちらかが残らないと出られなくても、真咲の移動方陣があれば全員で脱出ができるからってことだな」
私の話をガイが纏める。それに私は頷く。私が一緒に落ちてきたときに気付かなかったアッシュはばつが悪そうにそっぽを向いた。それだけが理由じゃないだろうけど。
「ではアッシュも含めた我らでヴァンの元に急ぐとしましょう」
ジェイドの言葉にみんな頷く。アッシュもすでに観念したようにナタリアの隣に立っていた。私もここで成さなくてはならない最低限の目的を果たせて安堵していた。
「真咲も相変わらずだねぇ」
「何が?」
先を進む中、前を歩くアニスが少しだけ振り返る。言っている意味がわからなくて首を傾げる。
「誰かのために動くって事だろ」
「さっきはリグレットで、今度はアッシュだもんね」
リグレット、の名にアッシュが反応する。どういう意味だ?と問うような視線を向けられる。あれは睨んでない。疑問の眼差しだ、と言い聞かせる。
「私たちが勝ったんだからどうしようと私たちの自由です」
問題ないでしょ?と微笑めばアッシュは舌打ちして視線を逸らす。情けを掛けるなと言いたいんだろうけど。わかってる。私たちはそういう戦いをしているんだ。
「そればかり繰り返すしたら、世界は変わらないよ」
たとえヴァンを止めることが出来ても、そんな簡単に命を手放せば同じ事を繰り返す。平和ボケした世界にいた私でもそう思うんだから。
「俺も真咲の意見に納得だ」
「わたくしもですわ」
そして私と同じ思いを持ってくれる人もいる。一人でもいるのなら私は十分だ。
「勝手にしろ」
納得してないのかアッシュは一人先に行ってしまった。そんな彼を私たちは小さく笑い追いかけた。