58話 この時こそが私の願い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……ただの卑屈じゃなくなった分、余計にタチが悪いんだよ!」
アッシュの方から距離を取る。初めの頃のルークから比べたらこの成長は著しい。前が苛々させられた分、この成長は喜ばしい事なんだけど、アッシュとしては複雑なのかもしれない。
「他の部分で有利だ?何も知らないくせに、どうしてそう言える。おまえと俺、どちらが有利なんてわからねぇたろうが!」
「だけど俺はどうせ……」
声を荒げるアッシュ。でもルークはやっぱりネガティブな言葉を発しようとする。それをアッシュは黙れ!と剣を抜いてその切っ先をルークに向ける。
「アッシュ!何を……」
「どうせここの仕掛けはどちら一人が残らなきゃならない。だったらより強い奴がヴァンをぶっ潰す!超振動だとか、レプリカだとかそんなんじゃねぇ。ヴァンから剣を学んだもの同士。どちらが強いか……どちらが本物の『ルーク』なのか。存在をかけた勝負だ」
キッとルークを睨みつけるアッシュ。何故そうなるのかわからないといった風なルーク。
「どっちも本物だろ。俺とおまえは違うんだ!」
「黙れ!理屈じゃねぇんだよ……過去も未来も奪われた俺の気持ちが、おまえにわかってたまるか!俺には今しかないんだよ!」
苦痛に耐えるように表情を歪めるアッシュ。近い将来、消えてしまうと思っているアッシュ。その叫びを聞いたルークは、……俺だって、今しかねぇよ、と呟く。ルークは本当に時間がない。だから私も急ぎたい。彼らを救うために。
「奪われるだけの過去もない。それでも俺は俺であると決めたんだ。おまえがどう思ったとしても俺はここにいる。それがおまえの言う強さに繋がるなら、俺は負けない」
「よく言った。そのへらず口、二度と聞けないようにしてやるぜ。行くぞ!劣化レプリカ!」
剣を構えて対峙する二人。私はこの戦いを止めることは出来ない。だから、見守ることに決めた。