57話 全てを乗せた彼の地へと
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「ローレライの鍵、渡してもらおう」
ヴァンとローレライの元に急ぐ私たちへと銃弾が撃ち込まれる。思わず足を止めると、柱の陰から銃を構えたリグレットが現れた。
「そうはいかない。俺たちはローレライを解放するためにここまで来たんだ」
「閣下の邪魔はさせない」
いつ戦闘になってもいいようにと私たちも身構える。
「教官……教官も星の記憶は消し去るべきだと言うんですか?」
「もちろんだ。星の記憶が人の未来を決定するのなら、人の意志は何のためにある?私は私の感情が星の記憶に踊らされているなど、絶対に認めない。人の意志は人にゆだねられているべきだ」
たとえ預言を撤廃しても、星の記憶は残る。それが残っている以上、私たちの未来は私たちが決定するものではない。そう言うリグレットをティアは悲しそうな目を向ける。
「その為に……被験者の世界が消滅しても、ですか」
「被験者の世界が星の記憶に支配されているなら、それもやむを得まい」
あくまでも星の記憶に支配されない世界を望むリグレット。ティアは表情を歪めて、一歩前へ出る。
「被験者の世界に、教官はほんの少しの未練もないんですか!あなたにとって、大切なものは何一つないんですか!」
一生懸命、リグレットを説得するティア。でもそんな彼女を見るリグレットの目は全く揺れていない。
「……一つの未練もないものなど恐らくいないだろう。人は必ず何かに執着する。だが、私を孤独からすくい上げて下さったのは閣下だ。閣下が望むなら、世界が滅ぶことも厭わない」
「それが教官の本心……なら……私は教官を軽蔑します。人の意志を謳っておきながら、教官には、教官の意志がないもの!あなたは私が憧れたローレライの騎士ではありません」
ヴァンが望むならばそれに従うのみ。彼女にとって自分の意志はすでにヴァンのものなのか。それは、とても悲しい。