56話 前夜に語る思いの果て
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「本当に無茶だけはしないでくださいよ」
抱き締められる腕の力が強くなる。あなたは無茶ばかりするのですからと言われれば返す言葉もない。私の成そうとしていること自体は命に別状はない。けど、何が起こるかまでは想像も出来ない。
「……要努力します」
はい、とは言えなかった。善処とも言えなかった。あくまで出来るだけの努力。優先すべきは私ではないから。これもけして口には出来ない。
「私、この世界に来てよかったと思いますよ」
たくさんの人に出会えてたくさんの事を体験して。楽しい事も辛い事も悲しい事も全て。走馬灯のように頭に過ぎるそれは少しばかり縁起が悪いがそれもまた思い出というもの。
「みんなに、ジェイドさんに出会えて、こうして旅をして大切なものを得られて。私は、結構幸せ者です」
けして楽なことではなかった。それでも大切な何かを手に入れられたから。それは一生もので、この先二度と手に入らないだろう。
「だから絶対に帰ってきます」
「待っていますよ。その時に、あなたに話したいことがあるのですから」
互いに笑みを浮かべて、どちらともなく顔を近づけた。別れの為じゃなく、約束を守る為に……
後には退けぬ
全ては目の前に
私たちは未来の為に
最後の決戦に赴く