56話 前夜に語る思いの果て
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「本当に珍しいですね……甘えてくるなんて」
「私だってそうしたい時があるんですよ」
ただ出来る状況が無かっただけです。と顔を離したと思ったら手を下に引かれ上半身も下がる。それと同時に空いている方の手が私の頭に添えられてそのまま唇を重ねられる。触れる程度のから深いものに変えられ一気に力が抜けそうになる。
「……んっ」
キスすら久しぶりかも。マルクトに戻ったとき以来か。体勢的に私の方が無理な姿勢をしているから逃げようがなくなすがまま。構内で微かに香るアルコールの匂いが脳を刺激する。本当に流されそうになる。
「……ジェ、イド…さ……」
向こう離す気がないのか一向に止めようとはしない。とは言え、このままだと床に崩れ落ちそう。支えはしてくれるだろうけど、問題はその後。駄目とかじゃなくて状況が状況だし。
「今日はこれ以上はしませんよ。明日に支障があったらいけませんからね」
唇を漸く解放され、肩で息をする。ここまでのは本当に久しぶりだから、呼吸の仕方まで忘れてしまった。思わず、助かった…と呟きそうにもなった。口にはしないけど。
「ですが……」
「へっ?……きゃっ!?」
にっこりと微笑みながらジェイドは立ち上がり、今度は抱き上げてきた。いやいやいや!何もしないって言ったよね!?あれ?聞き間違い?あれよあれよと言う間にベッドの前へ。ちょっと待て!と叫びそうになると、ジェイドは私を抱き上げたままベッドへと腰を下ろした。
「ふへ?」
ただいまジェイドの膝の上に座らされている。どういうこと?本当に何もしないのか些か疑問が湧いてくるんだけど。これは一体私にどうしろと?
「……ジェイドさん?」
恐る恐る顔を見上げる。表情を伺う前にまた抱き締められる。さっきと違うのは互いの位置。今度は私がジェイドの胸に押しつけられている。