56話 前夜に語る思いの果て
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「星が綺麗だね」
少しだけ風で揺れる赤毛の彼に声を掛ける。目をパチパチさせながら振り返るルーク。
「うん、凄く綺麗だ」
愛おしそうに慈しむかのように私から夜空へと視線を戻す。その彼の隣へと私は立つ。
「ルーク。話があるの」
みんなのように決戦前の会話ではなく。彼自身の事でのこと。私の声が真剣なものと気付いたのかルークの表情が険しくなる。
「先に、体調はどう?」
「……たまに手が消えかけたりはする。あとは大丈夫だ」
レムの塔での瘴気の件以来、ルークは徐々に乖離し始めている。それはシナリオ通り。最後には……
「で、話って?」
小首を傾げる仕草は相変わらず可愛いけど、今はそんな事を言っている場合じゃない。
「今から言うことはみんなには内緒ね」
そう前置きをして私はルークへと話し始める。ルーチェの研究室へ行った本来の目的。それは誰の何の為なのか。きっと、私が一番変えたかった事。私が話を進めるにつれてルークの表情が変わる。
「そんな事をしたら真咲が危ないんじゃないのか!?」
「大丈夫だよ。一つ、失うだけだから」
泣きそうに顔を歪めるルークの頬を両手で包む。自分のために私が危険に及ぶと心配してくれてる。
「私はね、きっとこの為にいるんだよ。みんなと出会うためだけじゃなくて」
そっとルークを抱きしめる。抱きしめた体はこんなにも温かいんだ。だからあんな事になっていいはずがない。
「死ぬ訳じゃない。時間は掛かるかもしれないけど、永遠じゃない」
たとえそれが死に繋がっても私の決心は揺らぐつもりはない。そうなるようなら内緒でやったけど今のルークには知る権利がある。
「それね。ルークだけじゃなくてアッシュのためでもあるんだよ」
思わぬ所からアッシュの名前が出たせいかルークが私を引き離し、何度も瞬きをしながら見つめる。