56話 前夜に語る思いの果て
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「真咲!」
次はどこに行こうかなと足を止めているとまた名を呼ばれる。呼んだのはガイで、側にはナタリアもいた。そう言えばこの二人が話をしていたんだっけ。
「一緒だったの?」
「ああ。真咲も戻ってたんだな」
知ってはいたけどその辺りはあえて口にはしない。ナタリアにも心配しましたわと言われてしまい苦笑いを浮かべるしか出来なかった。
「ルーチェの研究室だっけ?何かあったのかい?」
「これかな」
「……惑星譜術ですわね」
一冊の本を取りだし見せる。書かれている文字は当然、古代イスパニア語。何かないかと探したらこれが見つかったとアニスと同じ説明をする。本当の目的は話さないけど。
「こりゃ心強いな」
「ええ。助かりますわ」
持ち帰った物が強大な譜術の書だとわかると二人ともぱぁっと明るくなる。正直なところこんな代物があるとは私自身も思わなかったけど。下手な言い訳を考えなくていいから私としては結果オーライなんだけどね。
「そう言えば、ジェイドの所には行ったのかい?」
「……ガイもなんだね」
みんな二言目にはジェイドって言う。そりゃ一応は付き合ってるわけだからそうなんだろうけど……なんか最近は恋人同士の扱いより保護者と子供の扱いしかされてないような。いくら無茶なことばかりしてたからって。
「後で行くよ。話が長くなるといけないから先にみんなとも話しておきたくて」
「話、ですか?」
私から話があると聞いて少し表情を強ばらせるナタリア。ガイも似たような表情に変わる。
「重い話じゃないよ。負ける気はないけど、いよいよ明日でしょ」
決戦の日は。それでようやく察してくれたようだ。こちらも向こうも負ける気はない。これが最後だ。世界の命運を賭けた戦いの前夜は今日しかない。だから少しばかり話がしたかった。