56話 前夜に語る思いの果て
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「いえ。先日だって霧島少佐がいなかったら私は死んでいました。指揮官が真っ先に死ぬなんてあってはならないのです」
シナリオではそうなんだけど……あれは預言に無いもの。フリングスさんがあそこで死ぬのはヴァンたちが預言というシナリオを狂わせたから。私はそれを知っていて、死んで欲しくないからそうしただけ。
「せめて間近でフォローさせて欲しいのです」
「とても心強いです」
こうして助けてくれる人たちがいるから頑張れる。人は手と手を取り合って生きていけるという証にもなる。
「では私はこれで。明日は共にこの世界を守りましょう」
「はい」
フリングスさんに頭を下げ、その場で別れた。予想だにしていなかったことに驚いたけど、何だか安堵が広がった。とりあえず一度宿にでも行こうかと振り返るとちょうどやってきたツインテールの少女。
「アニス」
「あ、真咲!」
私に気付いたアニスがテケテケと駆け寄ってくる。彼女が来たのは酒場がある方向から。さっきまで一緒だったということか。
「帰ってたんだ」
「さっきね」
アニスは?と一応知っていながらも何をしていたか問えば、ニィっとイタズラを思いついたような笑みを浮かべるアニス。いや、シナリオ通りならジェイドと一緒だったのは知ってるから。ただ会話の内容に関しては私が知っているのと違うだろうけど。そこまで極端に変わってはいないと、思う。
「言い方を変えるね。ジェイドさんと一緒だったんでしょ」
「なーんだ、知ってたんだ」
その辺りに変更はないと思っただけなんだけど。シナリオはともかくとして、イオンがこの場にいないのならアニスが行くような場所は逆に限られるし。
「真咲は大佐の所に行かないの?」
小首を傾げるアニス。それも聞かれると思ってはいたけど。まあ、なんだろう。私の日頃の行いのせいなのかな。